ブックカタリスト goryugo
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面白かった本について語るポッドキャスト&ニュースレターです。1冊の本が触媒となって、そこからどんどん「面白い本」が増えていく。そんな本の楽しみ方を考えていきます。
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BC089『たいていのことは20時間で習得できる』と『成功する練習の法則』から考えるスキルを獲得するというマインドの獲得
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。
今回は、『たいていのことは20時間で習得できる 忙しい人のための超速スキル獲得術』
と『成功する練習の法則 最高の成果を引き出す42のルール (日本経済新聞出版)』
を踏まえた「スキルを手に入れるというマインド」について語りました。
今回は「自分の体験を整理するために読んだ本を土台にして語る」という感じの内容を意識しました。
ごりゅごの今年のブックカタリストのテーマ「つなげる」と絡めて言うのであれば、これまでの自分の人生と、読んだ本をつなげて考えてみる、という感じでしょうか。
この2〜3年、おそらく自分が40代になってから、自分の考え方や価値観みたいなものがけっこう変化してきていて、振り返ってみるとかなり大きな変化になっています。
そんな変化が、どんなところから起こったのか。その変化によって何が得られたのか。そんなことを「本をテーマにして語る」ことを目指してみました。
かつてごりゅごのブログのテーマは「だいたい言いたいだけ」だったんですが、なんかそれに近い「言いたいことを言うために本を素材にする」という手法を使ってみた、という実験。
かつて自分が好きだったことを思い出し、それを少しアレンジして今の自分に当てはめてみる。今年はそんなことをする機会が多いんですが、今回のブックカタリストなんかもまさにそういう感じの内容だと言えるのかもしれません。
今回出てきた本はこちらで紹介しています。
📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish
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BC088『CHANGE 変化を起こす7つの戦略』
今回はデイモン・セントラの『CHANGE 変化を起こす7つの戦略: 新しいアイデアやイノベーションはこうして広まる』を取り上げました。
書誌情報
* 原題
* 『CHANGE:How to Make Big Things Happen』
* 出版日
* 2024/1/25 (原著:2021)
* 出版社:
* インターシフト
* 著
* デイモン・セントラ
* ペンシルヴェニア大学のコミュニケーション学、社会学、工学の教授。
* 翻訳
* 加藤万里子
* 『アナログの逆襲』など
目次や今回の内容に関係する倉下の読書メモは以下のページにまとめてあります。
◇ブックカタリストBC088用メモ - 倉下忠憲の発想工房
「弱い絆」を再考する
昨今のビジネス書などでは、「弱い絆」が重要だとよく言われます。
弱い絆とは、日常の人間関係よりも少し「薄い」関係性のことで、そうした人たちは自分の日常と異なった環境で生活しており、異なる情報を持っていることが多いので、そこにアクセスしましょう、というわけです。
また、そうした弱い絆で人々がつながるSNSは、情報の拡散に貢献することはよく知られています。プロモーションなどで「発信力」のある人に仕事が集まるのは、そうした人たちならばより効果的に情報を拡散してくれるだろうと期待してのことでしょう。
そのような情報の拡散モデルは、「情報はウイルスのように広まる」という観念が前提にあるわけですが、本書はそこに異議を唱えます。たしかにそうした伝播の仕方もあるが、そればかりではないだろう。単に情報を広めるだけでなく、行動や信念を変えるような変化が広がっていくのは、「ウイルス」のようなモデルとはまったく違っているんだ、という議論が実例を通しながら検討されていきます。
本書において学べることはたくさんあるわけですが、「弱い絆」至上主義を再検討してみることはその中でももっとも重要なことかもしれません。
たしかに強い絆しかない状態よりは、弱い絆があった方がいい。しかしそれは、弱い絆が強い絆を代替してくれることを意味しない。むしろ、土台として強い絆があるからこそ、弱い絆の力が活かせるのではないか。そんな風に考えることができるでしょう。
その他、表面的なプロモーションではなく、より深くコミットした新しい動き(運動)を起こしてみたい人には有用な知見が多く見つけられると思います。
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BC087 『音楽の人類史:発展と伝播の8億年の物語』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。
今回は(最初はシンセサイザーの話をしようと思ってたのにいつのまにかその導入部分が広がって)『音楽の人類史:発展と伝播の8億年の物語』のごく一部の部分だけを紹介しました。
ごりゅごの今年のブックカタリストのテーマは「つなげる」だって言っといて、今度は逆に「一回で一冊分を取り上げていない」というこの感じ。
これは、次回と「つなげる」ことを目指しているが故に起こった現象です。
こういう屁理屈が得意になったのも、ブックカタリストを長年続けてできるようになったことです。
次回の予定は(ごりゅご回は約一ヶ月後の公開ですが)「シンセサイザー」なんかの話の予定です。それはおそらく「物理と音楽」をつなげる話。今回は「歴史と音楽」をつなげる話。
今年はけっこう音楽に関連する本を読んでることが多いんですが、音楽という分野もいろんな分野と大きくつながっている。
そういうことを、こうやって色々な観点で紹介する中で「つなげて」話せたら面白いな、と思ってます。
今回出てきた本はこちらで紹介しています。
📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish
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BC086『体育館の殺人』から考える新しい読書について
今回は二人が読んだ『体育館の殺人』というミステリー小説から「本の読み方」について考えます。
「読者への挑戦状」への挑戦
発端は、倉下が『体育館の殺人』を読んで「読者への挑戦状」にきちんと挑戦しよう、という試みです。そこにいたる流れは二つありました。
まず一つは、アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』で青崎有吾さんに興味を持ち、以前から面白い作品を書く人だと聞き及んでいたので、じゃあ一作目の『体育館の殺人』を読んでみようという流れ。
もう一つは、一冊の本を一年かけて複数人で読んでいこうという環読プロジェクトや、毎日少しずつ本を読みその読書日記を書くという「ゆっくり本を読む」という自分の中でのマイテーマな流れ。
その二つが合流することで、ミステリー小説の「読者への挑戦状」にガチンコで挑戦しようと思いたちました。
ちなみに、これまでもミステリー小説は読んできましたが、本気で「推理」したのはこれがはじめてです。つまり、何回も再読し、状況をメモしていって、そこから推論を展開していくという試みは倉下読書人生史上初だったわけです。
で、やってみて思いました。「楽しい」と。
仕事で書いている原稿のためでもなく、自分の環境改善のためにプログラミングを書くのでもない。ただただ純粋に「頭を使う」という行為はすばらく楽しいものです。純粋な娯楽という感じがふつふつと湧いてきますね。
続きのページを見れば答えが書いてあるものを、それこそ10日以上もかけて考える。その間は、他の本の読書も止まってしまう。コスパはぜんぜんよくありません。しかし、コスパが悪いからこそ、そこには純粋な楽しみが立ち上がってくることも間違いありません。
つまり、コスパを気にしているのは、「コスパゲーム」をしているので、目の前のゲーム(推理やらなんやら)に十全に没頭できないのでしょう。この辺は、昨今の情報環境の大きな問題に関わっていると思います。
というわけで、一冊の本を十全に味わうためには、ゆっくりと時間をかけ、それこそ読書メモなんかを取りながら読む「スロー・リーディング」がいいよ、というのがお話の半分です。
「読書メモ」の練習になる
もう半分が、そうやってミステリーの犯人を当てるために作る「読書メモ」が、より敷延した「読書メモ・ノート」作りの練習に最適ではないのか、という話です。
本を読んでメモやらノートを書く、というのは初めてだと存外に難しいものです。特に、普段メモやノートを取らない人ならばなおさらでしょう。「どう書くのか」と「何を書くのか」の二つが課題としてのしかかってきます。
その点、「ミステリーの犯人を当てるため」という目標が固定されているならば、何が必要で何が必要でないのかの判別はしやすいでしょう。あとはそれを「どう書くのか」です。
もちろん、「どう書くのか」も簡単というわけではありません。いろいろ試行錯誤は必要でしょう。ただ、うまくかけているのかどうかという判断は簡単にくだせます。推理がうまく進んでいるなら、メモもうまく書けているといえるし、そうでないならうまく書けていないと言える。わかりやすいですね。
一般的に「賢くなるため」の読書メモやノートは、賢くなることが瞬間的・瞬発的な -
BC085『文学のエコロジー』から考える文学の効用
今回取り上げるのは、山本貴光さんの『文学のエコロジー』です。
本書を通して、「文学を読むときに何が起きているのか?」を考えてみます。
書誌情報
* 著者:山本貴光
* 哲学の劇場でもおなじみ
* 『記憶のデザイン』『文学問題F+f』などがある
* 出版社:講談社
* 出版日:2023/11/23
* 目次:
* プロローグ
* 第I部 方法——文学をエコロジーとして読む 19
* 第1章 文芸作品をプログラマーのように読む 20
* 第II部 空間 49
* 第2章 言葉は虚実を重ね合わせる 50
* 第3章 潜在性をデザインする 74
* 第4章 社会全体に網を掛ける方法 97
* 第III部 時間 117
* 第5章 文芸と意識に流れる時間 118
* 第6章 二時間を八分で読むとき、何が起きているのか 139
* 第7章 いまが紀元八〇万二七〇一年と知る方法 161
* 第IV部 心 183
* 第8章 「心」という見えないものの描き方 184
* 第9章 心の連鎖反応 207
* 第10章 関係という捉えがたいもの 232
* 第11章 思い浮かぶこと/思い浮かべることの間で 254
* 第12章 「気」は千変万化する 276
* 第13章 「気」は万物をめぐる 300
* 第14章 文学全体を覆う「心」 321
* 第15章 小説の登場人物に聞いてみた 342
* 第V部 文学のエコロジー 367
* 第16章 文学作品はなにをしているのか 368
* エピローグ 395
* あとがき 418
本書に加えて、『ChatGPTの頭の中 (ハヤカワ新書 009)』と『心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学 (講談社選書メチエ)』を補助線として挙げておきます。
倉下のメモは以下のページをご覧ください。
◇ブックカタリストBC084用メモ - 倉下忠憲の発想工房
以降は常体でお送りします。
エコロジーとシミュレーション
エコロジーとは「生態学」のこと。静止した対象ではなく、対象と環境の相互作用に関心を向ける態度が生態学。つまり本書は、「生態学における文学」という意味ではなく、文学を生態学的な観点から眺めてみよう、という態度で書かれている。
面白いのは、そこに「シミュレーション」の視点が加わる点。小説で描かれる世界を、もしコンピュータ・シミュレーションで立ち上げるとしたらどのようになるか。そのような対比を対比を経ることで、そもそも私たちが文学を読んでいるときに何が起きているのかが再発見されていく。
その意味で、本書は具体的なレベルでは「文学には何がどのように書かれているのか」が検討されるのだが、そうした検討の先に「文学を読むときに何が起きているのか?」という大きな問いに取り組んでいる。個々の文学作品に対する批評というよりも、「そもそも文学とは何か」(何でありうるか)を探る文学論であると本書は位置づけられるだろう。
生きることとシミュレーション
ここからは倉下の意見がかなり入ってくるが、人は「世界」をシミュレーションして生きている。世界のそのものを捉えているのではない(物自体にはアクセスできない)。私たちは世界についての「モデル」を持ち、そのモデルをベースに世界はこうであろうと演算している(ただし意識的な計算ではない)。
小説作品は「世界」を描いている。もっと言えば、提示される作品を読者が読むときに、そこに読者なりの「世界」が立ち上がっていく。「世界」がシミュレートされるというわけだ。そのシミュレートは、もしかしたら読者がもともと持ってい -
ゲスト回BC084 jMatsuzaki さんと『先送り0(ゼロ)』
今回は、jMatsuzaki さんをゲストにお迎えして、新刊『先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術』についてお話をうかがいました。
書誌情報
* 出版社
* 技術評論社
* 出版日
* 2024/2/24
* 著者
* jMatsuzaki
* 1986年生まれ。クラウドサービス「TaskChute Cloud」開発者。jMatsuzaki株式会社 /jMatsuzaki Deutschland UG代表取締役。一般社団法人タスクシュート協会 理事。
* システム系の専門学校を卒業後、システムエンジニアとして6年半の会社員生活を経て独立。会社員時代にjMatsuzakiの名で始めたブログが「熱くて有益」と人気を博し、最高で月間80万PVに達する。現在は会社経営のかたわら、サービス開発や執筆、講演活動をしている。2018年よりドイツ在住。
* ◇TaskChute Cloud by jMatsuzaki Inc
* https://taskchute.cloud/users/top
* 佐々木正悟
* 目次
* 序章 時間に追われ、先送り癖に悩まされている人へ
* 第1章 先送りゼロを習慣化するための3つのルール
* 第2章 先送りゼロを支えるメソッド「タスクシュート」
* 第3章 先送りゼロを実現するシステムの全容
* 第4章 スモールスタートで先送りゼロの成功体験を重ねる
* 第5章 先送りゼロを実現する考え方のポイント
* 第6章 長続きする習慣を支えるログの活用法
* 第7章 複数のタスクからなるプロジェクトで先送りゼロを実現するには
* 第8章 うまくいかないときのために
「タスクシュート」というメソッドに入門するための一冊ではありますが、その道のりの先には「時間の使い方=生き方」の変化が見据えられています。
その「タスクシュート」はかなり偏った印象で捉えられることが多いメソッドなのですが、そこに含まれる有用なコンセプトを、より広く受け入れてもらえるように本書ではさまざまな工夫がほどこされています。そうした工夫は、陥りやすい挫折をケアしてくれるでしょう。
また、これはタスクシュートに限ったことではありませんが、タスク管理的な行為を行うときに、当人の「完璧主義」「理想主義」が暴走している状態では、何をどうやってもうまくいくことはありません、この場合の「うまくいく」とは、結果に納得できる、満足感や幸福感を得られるというような意味です。
たしかに作業はたくさんこなせるようになったけども、常に焦りの気持ちを覚えているというのでは、「成功」とは言えないでしょう。本書はそうした焦りに対する処方せんも与えてくれます。
その意味で、本書の「先送りゼロ」とは、物事を後回しにすることが何一つ起こらない状態というよりも、「先送りしてしまった」という感覚が生みだす罪悪感や自責の念をゼロにできる状態、という方が近しいでしょう。先送りを繰り返すことで発生する、自分の心への攻撃を止めることが大切なわけです。
もちろん、たとえ1分であっても何かしら着手することは物事を確実に前に進めるわけですから、実際的(あるいは能率的)な意味でも効果があると言えます。
ちなみに、本書で提示される三つのルールは以下。
* 1日の初めに今日やることを決める
* 1日の終わりにその中で先送りしたものの数を数える
* 1分でも手をつけたら「先送り」とはしない
ばかばかしいと思われるかもしれませんが、これはかなり有効です。『ロギング仕事術』もルール自体は違うものの、似たコンセプト(実際に