「膨張を続ける社会保障費の財源には、 本来、労働者や預金者に帰属するはずだった企業の内部留保を充てる手も!」
Listen now
Description
第18回、前回に引き続き、不足する社会保障費の財源の補い方について考えていきます。 6年前に政府が示した試算は、つまり、社会保障費(年金、医療、介護、子供・子育て、その他)は、2018年度の121.3兆円から6割増えて、2040年度に最大190兆円に膨らむという見通しになっています。社会保障費を中心に増加する国や地方の予算を賄ってきた主な税目は消費税です。1989年度に導入されて以来、3回増税されています。一方で、法人税は、優遇されてきました。諸外国の企業誘致のための税率引き下げ競争に対抗、日本も競争力の維持・強化が必要だという名目で法人税率の引き下げが繰り返されてきたのです。その後は、税収ベースで増加に転じているものの、依然より低い状況です。 そこで、社会保障費の財源のひとつとして、新たに、積み上がる一方の企業の内部留保に目を向けるべきだとの意見があります。この内部留保というのは、どういうもので、どれぐらいあるのでしょうか?法人税の税率を引き上げて増税するのとどういう違いがあるのでしょうか?ゲストの方にくわしく解説をしていただきます。 ゲストは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフエコノミストや内閣官房内閣審議官、法政大学教授などを歴任された経済学博士の水野和夫さんです。
More Episodes
第20回 今回は、GAFAのような多国籍企業を巡る最新の課税強化の動きを検証したうえで、そこで登場したキャッシュフロー課税の革新性や他の法人課税への応用ができるのかにもスポットを当てたいと思います。前回に引き続き税制にも詳しい経済学者の佐藤主光さんにお話を伺っていきます。
Published 11/15/24
第19回 今回は、実際には多くの方の懐具合に大きく影響するにもかかわらず、消費税ほど目の敵にされることが少なく、以前ほど、重税感を認識しづらくなっている「所得税」についてふかぼりしたいと思います。 今年度の国と地方の税収の合計を100とした場合、税目別で最大なのは、34.9%を占める消費課税ですが、個人の所得課税は26.7%とそれに次ぐ第2位の規模にあります。これは3位の法人課税の24.4%や4位の資産課税の14.0%を上回る大きな税目なのです。つまり、本来ならば、所得課税は、もっと納税者が重い負担だなと感じてもおかしくないはずですが、実際はそうはなっていないといって良いでしょう。所得税...
Published 11/08/24