第三百二十六話『自分で得たものしか使えない』-【三重篇】映画監督 衣笠貞之助-
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1954年に開催された第7回カンヌ国際映画祭で、日本人として初めて、見事グランプリを獲得した映画監督がいます。 衣笠貞之助(きぬがさ・ていのすけ)。 作品のタイトルは『地獄門』。 主演・長谷川一夫。 審査委員長のフランスの詩人・ジャン・コクトーは、衣笠の、平安時代の色彩美を再現した才能に、最大の賛辞をおくったと言われています。 カンヌ国際映画祭のグランプリは、のちにパルム・ドールと名を変えますが、次に選ばれた日本人は、1980年の黒澤明『影武者』まで待たねばなりませんでした。 もともと、新派の女形。 役者だった衣笠は、映画監督としても頭角を現し、長谷川一夫とは、およそ50本あまりの映画をつくり、日本中の映画ファンを魅了しました。 群を抜いた素晴らしい功績があるにも関わらず、ほぼ同時代の映画監督、小津安二郎や溝口健二と比べると、現代にその名が受け継がれているとはいいがたい現実があります。 小説家の川端康成や横光利一、岸田國士らと、新しい映画芸術を創造しようと、新感覚派映画聯盟を設立。 その中心メンバーとして実験的な映画『狂った一頁』を発表。 日本映画初のアヴァンギャルド映画を監督しましたが、ふたをあけてみれば、大赤字。 結局、売れる映画を創り続けました。 ただ、衣笠は、いつも新しいもの、これまでにないものに興味を持ち、さまざまな手法を試すことには終生、貪欲でした。 生涯、活動写真が大好きな映画青年。 ピュアな心の原点には、ただひとつ、観客を驚かせて楽しませたいという思いがありました。 黎明期から、映画という文化の屋台骨を支え続けたレジェンド・衣笠貞之助が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?
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