16-1. なぜ「旅」するの?トラブルをトラベルに変換してきた、人類の旅路
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今回から新テーマ!
ほんのれん vol.16「なぜ旅をするのか? 〜フィルターバブルの外に出る〜」です。
思えば人類はずーっと旅をしてきた。
私たちにとって、旅とは? デジタル時代だからこその、リアルに旅する意味とは?を考えます。
▼エピソード目次
夏だ!旅だ!/人はどうして旅をする?/「旅」の辞書的定義/旅≒旗≒遊/voyageの語源は「旅費」/travelとtrouble/聖徳太子「この旅人あわれ」/最近旅してる?/シカゴへの女ひとり旅・ニレヨーコ/ケニアでキリンを見て、自分が人間だと気づくはるにゃ/旅嫌いウメ子/出張は旅なのか/出張=サファリ説/遠くに行かなくても旅ができる/中沢新一『アースダイバー』的な時間の旅/まち歩き団体・まいまい京都/ムー×地球の歩き方『異世界の歩き方』/元JAXA職員による『そろそろタイムマシンで未来に行けますか』/私たちは、最果てまで歩いてきた旅人たちの末裔だ/海部陽介『日本人はどこから来たのか』/3万年前の船旅を再現/定住と遊牧の違いとは/柄谷行人『遊動論』/常民・山人・遊民/ジェームズ・スコット『ゾミア――脱国家の世界史』/海民系ゾミアが日本人になった?/杉山正明『遊牧民の世界史』/ネパール人によるインドカレー屋がなぜ日本に『カレー移民の謎』/旬感本5冊紹介
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<今月のEditor’s Note>
「いつもの世界」の外に出る
コロナ以前にも増して、街は外国人観光客に溢れている。
Google Earthや動画で手軽に旅気分を味わえる時代だからこそ、物理的な移動をともなう「カラダごとの旅」は、これまで以上に大きな意味を持つのかもしれない。
人類は太古から旅をしてきた。ホモ・サピエンスの集団は、約5万年前にアフリカを出て、放浪しながら世界中に分散していった。アジア大陸の東端までやってきた集団が、海を渡って沖縄に上陸した。これが我々の祖先、3万年前の日本人だといわれる。
私たちはみな、何百世代もかけてここに辿り着いた、冒険者の末裔なのだ。
日々ネットを逍遥する私たちは、あらゆる情報にアクセスできるように見えて、知らず知らずのうちに、フィルターバブルに閉じている。そんな「予測可能ないつもの世界」から外に出るには、カラダごと旅して、予想をこえた偶然や未知と出会うことが必要なのかもしれない。
今こそ、我々の本能に刻まれた「旅」の意味を考えてみたい。
編集長・仁禮洋子
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▼「なぜ旅をするのか?」を考える「ほんのれん」旬感本はこちらの5冊!
(1)『旅行の世界史─人類はどのように旅をしてきたのか』森貴史(著)星海社 2023
(2)『弱いつながり─検索ワードを探す旅』東浩紀(著)幻冬舎文庫 2016
(3)『ビジュアルアトラス 辺境見聞録─世界の果てを見てみたい』ブルーノ・レゲ(著) 清水玲奈(訳)日経ナショナルジオグラフィック 2024
(4)『ウォークス─歩くことの精神史 』レベッカ・ソルニット(著) 東辻賢治郎(訳)左右社 2017
(5)『 旅する地球の生き物たち ヒト・動植物の移動史で読み解く遺伝・経済・多様性』ソニア・シャー(著) 夏野徹也(訳)築地書館 2022