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■サムネ画像は:映画「動物界」© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「動物界」
人がさまざまな動物に変化していく奇病が蔓延した世界を舞台にした作品。単なるスリラーではなく、私たちが無意識に持つ「人間と動物は違う」という確信が溶けていくような不思議な感覚を味わわせる。トマ・カイエ監督作品。
■「本心」
AIで故人を再現したら、一体何を語るのか。平野啓一郎の同名小説を原作に、石井裕也監督が、デジタル技術が高度に発達した世界で「実感」を見失っていく人々を描く意欲作。
■「レッド・ワン」
米ハリウッドのサンタクロースものにはずれなし。これもそう。「ワイルド・スピード」シリーズなどのドウェイン・ジョンソンが、タフでマッチョなサンタの護衛隊長を演じる。ひと足早くクリスマス気分を味わいながら単純明快に楽しめる。
■「ベルナデット 最強のファーストレディ」
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Published 11/11/24
■サムネ画像は:映画「ゴンドラ」©VEIT HELMER-FILMPRODUKTION,BERLIN AND NATURA FILM,TBILISI■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「ゴンドラ」
主な舞台は自然豊かな山の谷間をつなぐ古い2つのゴンドラ。そして主人公はゴンドラの乗務員、ニノとイヴァという2人の女性。セリフもない。こんなミニマムな設定なのに、冗舌なせりふよりも、もっと多くのことが伝わってくる。
■「十一人の賊軍」
旧幕府軍と新政府軍による戊辰戦争(1868~69年)の最中、新発田(しばた)藩の命運を握る任務に就きながらも、最後は藩の逆徒となる11人を描いた集団抗争時代劇。山田孝之、仲野太賀の主役2人はもちろんだが、脇役のイカサマ博徒を飄々と演じた歌舞伎俳優、尾上右近の存在感が際立つ。
■「アイミタガイ」
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Published 11/04/24
■サムネ画像は:映画「八犬伝」©2024 『八犬伝』FILM PARTNERS.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「八犬伝」
虚構は美しくあるべきか、現実の噓を暴くものであるべきか|。山田風太郎の同名小説を曽利文彦監督が映画化。滝沢馬琴の伝奇小説「南総里見八犬伝」を題材に、8人の剣士が戦う「虚」と、執筆中の馬琴と葛飾北斎の交流を描いた「実」が交互に描かれる。
■「ノーヴィス」
他人に認められるため、壮絶な努力で困難を克服しようとする主人公の高揚と狂気を描く。 大学のボート部に入部したダル(イザベル・ファーマン)。才能あるブリル(エイミー・フォーサイス)に勝つべく必死に練習に打ち込むが、彼女の行動は常軌を逸し始め…。
■「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム」
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Published 10/28/24
■サムネ画像は:映画「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」© & TM DC © 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」
社会現象と化した「ジョーカー」(2019年)の続編。再びトッド・フィリップス監督がメガホンを取り、ホアキン・フェニックスがジョーカーことアーサー・フレックを演じた。逮捕されたフレックは精神科病院に収容され、リーという女性と出会う。リーを演じるのは歌手のレディー・ガガ。今年最大の話題作だろう。
■「ジョイランド わたしの願い」
因習に縛られた社会にあえぐ人々を、サーイム・サーディク監督が描く。カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞とクィア・パルム賞を受賞した。舞台はパキスタン。伝統的な社会で自分らしさを求め、行き場を失う人々の姿が胸に迫る。
■「ボルテスV レガシー」
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Published 10/21/24
■サムネ画像は:映画「室井慎次 敗れざる者」(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「室井慎次 敗れざる者」
フジテレビの人気ドラマから派生した「踊る大捜査線」シリーズの12年ぶりの新作。ドラマ放送からは27年。主人公は室井慎次(柳葉敏郎)。定年前に警察庁を辞し、故郷の秋田に戻っている。組織の中で敗れ、青島俊作との〝約束〟を果たせなかったのだ。
■「BISHU 世界でいちばん優しい服」
世界三大毛織物の産地である愛知県一宮市を中心とした「尾州地域」を舞台に、高校生の神谷史織がファッションコンクールに挑む姿を描く青春映画。「ミッドナイトスワン」で新人賞を総なめにした服部樹咲(みさき)の初主演作。
■「2度目のはなればなれ」
英国の89歳の退役軍人がノルマンディー上陸作戦の70周年式典参加のため、老人ホームを抜け出した実話を基にした人間ドラマ。老人ホームで暮らすバーナード(マイケル・ケイン)は、妻のレネを置いて、一人で仏ノルマンディーに旅立つ。ジャクソンは昨年6月に死去し、遺作となった。
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Published 10/14/24
■サムネ画像は:映画「二つの季節しかない村」© 2023 NBC FILM/ MEMENTO PRODUCTION/ KOMPLIZEN FILM/ SECOND LAND / FILM I VÄST / ARTE FRANCE CINÉMA/ BAYERISCHER RUNDFUNK / TRT SİNEMA / PLAYTIME■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「二つの季節しかない村」
「雪の轍(わだち)」のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品。不満や嫉妬を抱えて生きる卑小な人間と壮大な自然を対比して描く。メルヴェ・ディズダルが、カンヌ国際映画祭でトルコ人初の女優賞を獲得した。
■「シビル・ウォー アメリカ最後の日」
最も悲惨な戦争は、同じ国民が殺し合う内戦だという。アレックス・ガーランド監督は、分断の果てに内戦に陥った米国を舞台に、不寛容と不信が生んだ地獄を生々しく描き出した。
■「花嫁はどこへ?」
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Published 10/07/24
■サムネ画像は:映画「憐れみの3章」©2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「憐れみの3章」
ヨルゴス・ランティモス監督の最新作。3つの物語で構成される。同じキャストがそれぞれの物語で異なる役柄を演じているが、さりげない共通点が加えられている。描かれているのは支配と欲望、愛と服従、信仰と妄信の間で揺れ動く人間の本質。不穏な空気を漂わせながらも、どこかユーモラスでスタイリッシュに描き出す手腕はさすが。
■「Cloud クラウド」
6月に「蛇の道」(柴咲コウ主演)が公開されたばかりの黒沢清監督の新作は菅田将暉と初タッグを組んで、ネット社会を背景に雲のように湧き出る悪意の恐ろしさを描くサスペンス。主人公は悪人ではないが無自覚に他人を傷つけ、恨まれて報復の標的とされる転売屋。菅田は意図的に現実味を薄めた芝居により、この男を巧みに表現する。
■「犯罪都市 PUNISHMENT」
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Published 09/30/24
■サムネ画像は:映画「あの人が消えた」ⓒ映画「あの人が消えた」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「あの人が消えた」
監督・脚本はドラマ「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)の演出家、水野格(いたる)。ミステリーホラー風味で始まるが、配達員の丸子(高橋文哉)のおせっかいな行動が短慮で、ムードにそぐわなくなっていく。「〝先読み不可能〟ミステリーエンターテインメント」という宣伝文句は、まさにその通り。
■「トランスフォーマー/ONE」
ロボット生命体が変身して活躍する「トランスフォーマー」シリーズ。主人公オプティマスプライムと宿敵メガトロンは、いかにして誕生したのか。その始まりの物語を、実写ではなくCGで熱血に描いた〝新次元リアルCGムービー〟。
■「パリのちいさなオーケストラ」
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Published 09/23/24
■サムネ画像は:映画「スオミの話をしよう」©2024「スオミの話をしよう」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「スオミの話をしよう」
劇作家、三谷幸喜の5年ぶり9作目の監督作品は、長澤まさみを主演に迎え、三谷いわく「長澤まさみ映画」。スオミ(長澤)が失踪。夫(坂東彌十郎)の邸宅に4人の元夫が駆けつける。夫たちは口々にスオミとの思い出を語るが、どういうわけかスオミ像はバラバラ…。〝三谷組〟初参加の松坂桃李や西島秀俊ら7人の俳優が、スオミの安否をめぐってドタバタ劇を繰り広げるコミカルミステリー。
■「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
「きみはいい子」以来9年ぶりとなる呉美保監督の長編作品。五十嵐大の自伝的エッセーを原作に聴覚障害者の母と聞こえる子供の愛と葛藤を描く感動作だ。 耳の聞こえない両親の間に生まれた大(吉沢亮)。母、明子(忍足亜希子)は懸命に息子を育てるが、大は成長につれ、母の通訳と周囲の特別視が負担となり、反発を繰り返す。
■「ぼくのお日さま」
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Published 09/16/24
■サムネ画像は:映画「ナミビアの砂漠」©2024「ナミビアの砂漠」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
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Published 09/09/24
■サムネ画像は:映画「愛に乱暴」©2013吉田修一/新潮社 ©2024「愛に乱暴」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「サユリ」
「呪われた家」が舞台のホラーは珍しくない。だが、押切蓮介のコミックを映画化したこの作品は、ばあちゃんと孫が亡霊と力ずくで戦う新機軸だ。「貞子vs伽椰子」の白石晃士が監督を務めた。亡霊にやられっぱなしのパターンが多い日本のホラーでは異色の展開が楽しい。
■「モンキーマン」
架空のインドを舞台にモンキーマンを名乗り、ファイトクラブのかませ犬として生計を立てているキッド(デヴ・パテル)が、母の命を奪った憎い敵への報復に燃える姿を描く。 インドの猿神ハヌマーンを現代によみがえらせたような、ダークヒーローによるサスペンスアクション。
■「愛に乱暴」
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Published 09/02/24
■サムネ画像は:映画「ラストマイル」ⓒ2024 映画「ラストマイル」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「ラストマイル」
脚本家、野木亜紀子と塚原あゆ子監督のタッグによるノンストップサスペンス。大型ショッピングサイトから届いた荷物が相次ぎ爆発。発送元の巨大物流倉庫で、着任早々のセンター長(満島ひかり)とチームマネジャー(岡田将生)が事態の収拾に奔走する。
■「箱男」
生誕100周年を迎えた安部公房の同名小説を石井岳龍(がくりゅう)監督が映画化。昭和48年発表の実験小説を独自の世界観で映像化した。段ボール箱を腰までかぶり、街を徘徊して、のぞき窓から世界を観察し続ける箱男。〝わたし〟(永瀬正敏)はその存在に心を奪われ、自ら箱男となる。しかし、箱を奪おうとする者たちに付け狙われ…。
■「エターナルメモリー」
「記憶」がテーマのドキュメンタリー作品。認知症を患うチリのジャーナリスト、アウグスト・ゴンゴラと、彼を支える妻で俳優のパウリナ・ウルティアの姿を、マイテ・アルベルディ監督が追いかけた。
■「ソウルの春」
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Published 08/26/24
■サムネ画像は:映画「ニューノーマル」©2023 UNPA STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「ニューノーマル」
ソウルを舞台に、6人の男女の何げない日常に潜む恐怖を描いたサスペンス。Kホラーの巨匠と呼ばれるチョン・ボムシク監督の最新作。韓流ドラマで見せた清純派ヒロインのイメージを覆す役を演じたチェ・ジウなど、キャスティングもさえる。
■「アナウンサーたちの戦争」
先の大戦でラジオ放送を通じて国民の戦意高揚などを図った日本放送協会の責任を検証する戦争映画。「伝説のアナウンサー」と呼ばれた和田信賢らNHKアナウンサーたちの苦悩を、実話に基づきながら極めてドラマチックに描く。
■「助産師たちの夜が明ける」
劣悪な状況下で働く仏の助産師たちの苦悩と喜びを、レア・フェネール監督がドキュメンタリータッチで描いた。綿密な取材により、作品全体がリアリティーに満ちている。疲弊し、疑問を抱きながらも、生まれて来る赤ん坊のために尽くす彼らの姿が胸に迫る。
■「心平、」
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Published 08/19/24
■サムネ画像は:映画「ブルーピリオド」©山口つばさ/©2024映画「ブルーピリオド」製作委員会115分■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。■「ブルーピリオド」人気漫画の映画化。最難関の美大合格を目指す若者たちがしのぎを削る姿を描いた青春美術映画。タイトルはピカソの「青の時代」から転じて、孤独で不安な青春時代を意味するそうだ。そのブルーな世界観を萩原健太郎監督が巧みに描いた。眞栄田郷敦(ごうどん)は、主人公の矢口八虎(やとら)を予想外の武骨さで演じた。不器用だが信念を貫き、困難を突破し続ける魅力的な人物に見せる。 ■「映画 クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」「クレヨンしんちゃん」劇場映画の31作目。恐竜を現代によみがえらせたテーマパークがオープン。そこから逃げ出した小さな恐竜ナナは、しんのすけたちと出会う。実はナナはパークの重大な秘密を握っており、しんのすけたちはナナをめぐる危険な争奪戦に巻き込まれる。 ■「ボレロ 永遠の旋律」わずか2種類の旋律が楽器を替えて17分間にわたり繰り返される「ボレロ」。耳に残る、あのリフレインを多くの人が知っている。現在...
Published 08/12/24
■サムネ画像は:映画「インサイド・ヘッド2」©2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「インサイド・ヘッド2」
「トイ・ストーリー」などの大ヒット長編アニメを手掛けるディズニー&ピクサーによる「インサイド・ヘッド」の9年ぶり続編。少女、ライリーの頭の中にいるヨロコビ、カナシミ、イカリなど感情を擬人化したキャラクターたちが主人公。高校入学を控えたライリー。シンパイやダリィ(怠い)など「大人の感情」たちが現れ、ヨロコビたちを排除してしまう。シンパイたちの先を見越した行動により、ライリーは大人らしくふるまうが…。
「ツイスターズ」
「ミナリ」の韓国系米国人、リー・アイザック・チョン監督が、デイジー・エドガー・ジョーンズとグレン・パウエルという魅力的な配役で、竜巻と闘う人々の姿を描いた自然災害パニックもの。ヒーローもの風でもあり、コミカルで、ラブコメ要素も取り入れ、米ハリウッドらしい大作は見応え十分だ。なんといっても製作総指揮をスティーブン・スピルバーグが務めている。
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Published 08/05/24
■サムネ画像は:映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」ⓒ2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「もしも徳川家康が総理大臣になったら」
「翔んで埼玉」や「テルマエ・ロマエ」などヒット作を次々に手掛ける武内英樹監督が、同名の小説を映画化。笑いと涙と独特の急速テンポで、今回も観客を快調に楽しませる。新型コロナウイルスが流行する日本の窮地を救うため、AI(人工知能)でよみがえった徳川家康ら歴史上の偉人たちが組閣。国民に支持されるが、裏にはあるたくらみが隠されていた…。
「DitO」
父と娘による家族の再生物語に新たな佳作が加わった。ボクシングが捨てられず妻子を日本に残し、フィリピンで独り生きる神山英次(結城貴史)のもとを突然、娘の桃子(田辺桃子)が訪れ、母(尾野真千子)が亡くなったと告げる。主演の結城が監督も務めた。英次がボクサーとして再起を図るのは手垢がついた展開だが、結城と田辺は抑制を利かせ、父娘は対立するのではなく互いを優しく見守る。
「このろくでもない世界で」
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Published 07/29/24
■サムネ画像は:映画「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
1969年の人類初の月面着陸は米政府の作りごとで、世界に流れた映像はスタンリー・キューブリック監督が撮った、今で言う〝フェイク動画〟だという米国の都市伝説を一ひねりした人間ドラマ。 題材は半世紀以上前の都市伝説だが、真実だけが真実であり、皆が信じたとしても噓はどこまでいっても噓なのだ、という主題は、SNS全盛の現代にあって実に今日的だ。米映画。
「墓泥棒と失われた女神」
「夏をゆく人々」のアリーチェ・ロルヴァケル監督の新作。この世と冥界の間をさまよう墓泥棒の姿を、現実と幻想が入り交じった独特のタッチで描く。過去と現在、生と死、聖と俗…と対立するものがあいまいに溶け合う世界観が魅力的。終始居場所を探し続けるアーサーを演じたオコナーの好演が光る。伊・仏・スイス合作。
「怪盗グルーのミニオン超変身」
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Published 07/22/24
■サムネ画像は:映画「キングダム 大将軍の帰還」ⓒ原泰久/集英社ⓒ2024映画「キングダム」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「キングダム 大将軍の帰還」
累計の発行部数が1億部を超える人気漫画を実写化したシリーズの4作目。3作目までは、いずれも興行収入が50億円を突破。監督は佐藤信介。この佐藤とは配信ドラマ「今際(いまわ)の国のアリス」でもタッグを組み、息はぴったりの山﨑賢人が主演で、将軍になる夢を抱く戦災孤児、信(しん)の成長を演じる。
「お母さんが一緒」
橋口亮輔監督の9年ぶり新作。CS放送用に同名舞台劇をドラマ化したものを再編集した、笑いあり涙ありのホームドラマ。もともとドラマだったためか、終盤を小器用に畳んだ感はあるが、橋口監督が描く「生きづらさを抱えた女性」は魅力的だ。
「ある一生」
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Published 07/15/24
■サムネ画像は:映画「フェラーリ」© 2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「フェラーリ」
主人公はフェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリ。エンジンは強力だが安全対策は貧弱だった時代のレースに、文字通り命懸けで挑む男たちを描く。1957年。エンツォ(アダム・ドライバー)は財政難や妻、ラウラ(ペネロペ・クルス)との不和、愛人との間にできた息子の認知問題で追い込まれていた。彼は起死回生の策として公道レース「ミッレミリア」に社運を懸ける。荒々しいレース描写と、再現されたレーシングカーの曲線美が魅力的。米映画。
「それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン」
漫画家で絵本作家、やなせたかしの、おなじみのアンパンマン。一緒に歌い、踊れる場面から始まる。敵役のばいきんまんが主役なのが話題。負けても負けても立ち上がるばいきんまん。身をていして他人を救う無私のアンパンマン。すべての子供たちに伝えたいことが、ここにはある。
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Published 07/08/24
■サムネ画像は:映画「ふたごのユーとミー 忘れられない夏」©2023 GDH 559 Co., Ltd. All Rights Reserved / ReallyLikeFilms■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「ふたごのユーとミー 忘れられない夏」
双子の中学生姉妹の絆、思春期の揺れる心を丁寧で繊細な表現で、しかも、びっくりする手法も使って描いたタイ映画。少年少女向けの佳作だ。日本はアニメ一辺倒で、少年少女向けの実写映画がほとんどないことを考えたら、貴重な一編ともいえる。中学生のユーとミーは、一卵性双生児の姉妹。生まれたときから常に一緒で、なんでも共有してきた。だが、世紀末に揺れる1999年夏の田舎町で、2人の関係は少し変わってしまう。初恋のせいだ。日本の10代にとっても忘れられない夏の映画になるのでは。
「言えない秘密」
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Published 07/01/24
■サムネ画像は:映画「おいハンサム!!」ⓒ2024映画「おいハンサム!!」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
「おいハンサム‼」
フジテレビ系の深夜「土ドラ」枠で、シーズン2まで放送された人気ドラマの映画化。伊藤理佐の複数の漫画を原作に、元フジの山口雅俊監督が、吉田鋼太郎が演じる伊藤源太郎と3人の娘を中心に、くすりと笑わせ、じんとくる現代のホームドラマを作りあげた。源太郎が〝良い顔〟で〝良いこと〟を演説するお決まりの場面があり、これがタイトルの由来でもあるのだが、吉田の芝居には説得力がある。家族とおいしい食事こそが幸せの基盤、いや、最大の幸せであるかもしれないことに気づかせてくれる。
「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」
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Published 06/24/24
■サムネ画像は:映画「ブルー きみは大丈夫」ⓒ2024 Paramount Pictures. All Rights Reserved.■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「ブルー きみは大丈夫」
もこもこした紫色のキャラクターのデザインが比較的平凡で、期待していなかったのだが、感動に包まれて試写会場を出た。原題は「空想の友だち」を意味する「IF」。テンポ感と上質なユーモア。ティナ・ターナーやハチャトリアンの楽曲など音楽の使い方もうまい。家族向けだが、ビーの祖母のようにかつての子供たちにこそ勧めたい。
■「ディア・ファミリー」
余命宣告をされた娘を救おうと無謀にも人工心臓の開発に取り組み、日本人の体格に合った初の国産バルーンカテーテルを生み出した町工場の社長の実話に基づいた人間ドラマ。主人公の大泉洋が適役。歌に司会に大忙しの人気者だが、主人公の決して諦めない姿勢は、どこか大泉自身に通じているように見える。家族愛と開発の奮戦物語が軸で、〝病気もの〟が苦手だという人にもお勧め。
■「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
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Published 06/17/24
■サムネ画像は:映画「違国日記」Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■一作品目、「違国日記(いこく・にっき)」
ヤマシタトモコの同名コミックを瀬田なつきの監督、脚本で映画化。人は分かり合えなくても寄り添うことはできる、と訴える。小説家、槙生(まきお・新垣結衣)の姉である実里(みのり・中村優子)と夫が事故死し、15歳の一人娘、朝(早瀬憩)が残される。槙生は抑圧的な姉とは絶縁状態だったが、朝を見かねて引き取ることに。しかし、人づきあいが苦手な槙生にとって、思春期の朝との共同生活は、想像以上に困難で…。
■二作品目、「かくしごと」
絵本作家の千紗子(杏)は、長年絶縁状態にあった父親(奥田瑛二)が認知症を発症したため田舎の実家に戻り、介護を始める。娘のことも忘れてしまった父親との生活にうんざりしていたある日、交通事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助けるが、少年の身体に虐待の痕を見つける。千紗子は少年を守るため、自分が母親だと信じ込ませ、一緒に暮らし始めるが…。
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Published 06/10/24