花に寄せて
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駅前商店街の外れにある「花屋さくら」。店主の佐倉実憂は、気になっていた。かれこれ三年近く、花を買いに来るサラリーマン風のその男性。彼は毎月、必ず十八日に来店する。 桃の節句も過ぎた三月十八日。いつものように訪れた彼に、実憂は思わず問いかけた。「なぜ毎月十八日に」。「母にとって忘れてはいけない日」との彼の答えに、実憂の悲しい記憶が蘇る。十八日は、実憂にとっても忘れられない日だった。
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Published 04/27/24
※作中にアラート音の表現があります。  昼下がりの平穏な時間。30代のその夫婦は、おやつに妻の作ったまんじゅうを食べている。夫はまんじゅうを見て、ふと、妻に問いかける。「まんじゅうの皮は、脳の外側にあり理性と司る『大脳新皮質』に似ている。中のあんこは、本能を司る脳の『大脳辺縁系』。人間の本質は『皮=理性』か、『あんこ=本能』か、どっちだろう?」平穏な時間を破る緊急アラート。夫婦の会話を、ほの暗い影が侵食していく。
Published 04/27/24
富岡舜(22)は小さな美容院をはじめるが、人と話すのが苦手。客はほとんどこない。そこに、突然の雨の中、中学生になったばかりの少女、神谷百合杏(13)が訪れる。「ヘアドネーションの看板をみて」やってきたのだ。百合杏が語る<雨の記憶>、亡き姉への想いに、そっと耳を傾ける舜。 ふたりの不器用な若者の彼らなりの生き方、社会への優しさのあらわし方、きいてください。
Published 04/19/24