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年末は、ジャンボ宝くじが発売されたり、クリスマスがきたり何かと財布の紐が緩むころですね。しかし最近は、キャッシュレスの時代ですから、大きな財布を持つ必要もありません。
財布を辞書で引いてみると、「金銭を入れる布・革などでつくった袋」とありました。袋っていうイメージはないですよね。
でも、冒頭で言った「財布の紐が緩む」っていう表現は、この袋から来ているんです。お金を入れる袋って、巾着袋のことなんです。かつては、これにお金を入れて持ち歩いていたんです。お金を使うときは巾着の紐を緩めてお金を出します。
ここから「財布の紐が緩む」っていうことばが生まれたのです。倹約するときには「財布の紐が固い」と言います。
いまの文化とは、少し異なることばって、結構残っています。
たとえば、筆箱、衣紋掛け、下駄箱とか。習字を習う人なら筆を使うでしょうけど、いまの筆記用具は鉛筆とかボールペンでしょ。パソコンなら筆記用具もいらないない時代です。衣紋掛けはハンガーのことだけど、さすがにこのことばを使う人は少なくなったかもしれませんね。下駄箱もそうです。学校では下駄履き禁止のところが多いと思うんだけど、下駄箱って言ってますよね。下足箱という言い方もあるようです。
「衣服を整え、姿勢を正しくする」とか「まじめな気持ちで物事に対処するという態度を示す」ときに使う「襟を正す」ということばの、「襟」ってどこだと思いますか?
このことばは、11世紀後半、北宋の政治家、文章家の蘇軾の代表的な漢詩「赤壁の賦」に出てくるんです。だから、襟と言ってもスーツの襟じゃなくて、着物の襟を言うんです。もっとも、今ではネクタイをキュッと締め直したり、スーツを整え直したりっていう感じになるのも仕方ないのかもしれません。
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