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リーダーになるのは、大体決まっているのだそうです。これは、動物の話なんですが、その群れのボスになるのは、体が大きいとか力が強い、という要素があるものの、その個体がもっている雰囲気なのだそうです。これは案外、人にも当てはまるような気がします。何となく真ん中にいる人っているでしょ。どんなに勉強ができても、リーダーに向いていないタイプっていうのも、経験上、理解しやすいところです。
世の中はリーダーになれる人を求めがちだけど、リーダーに向いていない人が、ダメだというわけではありません。補佐・参謀向きの人、交渉に長けている人、特筆するところはないのだけれど、人を魅了してリーダーになる人っているでしょ。ところが、もう一つ重要なのが、裏方に向いている人。これって、ものすごく大切。コツコツと業務の処理ができる人って、絶対重要。そういう人たちに支えられないと、表に立つ人も表に立てない。ところが、往々にしてここを軽んじる傾向にある。
アリだってハチだって、女王だけがいても繁栄しない。働きアリや働きバチが支えているから女王が生きられる。ところが、ここを無駄だという風に考える傾向が強い。生産性という...
Published 10/28/24
この番組では、就職・転職に役立つ内容、と言っているのですが、実は就職と転職というのは、意味合いが大きく違うんですよね。新卒での就職は、基本的に初めて働くということが前提になっているので、それまでの経験というのは、採用側としては、ある程度予想がつきます。ところが、転職の場合は、数年間社会に出ていたので働いたときの実績が問われてきます。
そのため、就活の場合は、いわゆる「伸びしろ」を企業は見ているんです。これを見定めるのは、ものすごく難しい。面接などでもしっかり準備して、そこをピークに持ってくるので、判断基準があってないようなものなんです。学生時代の成績は一つの判断材料になりますが、それと仕事とは必ずしもリンクしません。仕事は最終的に「人間性」だと思っています。しかし、これも確固たる判断材料がない。クラブ活動で主将をしていたとはいっても、うまくまとめられていたのかどうか、はいわば自己申告です。
その時にどう判断するか。一つには就活試験の論文を目安にします。伝えるべきことがしっかり書けているかどうか、を見ます。
ちょっと不思議な言い方をすると、採用した人の印象ってあまりないんです。...
Published 10/21/24
僕はあがることはほとんどないんですが、それでも若いときは、ちょっと自分の予想とは違う反応をされたときには、うろたえてしまったことがあります。...
Published 10/14/24
前々回にラジオネームみかんさんから頂戴したメールをもとに、「さまざまありがとうございます」の違和感について、お話ししました。
その後、みかんさんは、若手社員に話をし、その社員もご自身で調べて「なるほど」と理解してもらえた、と...
Published 10/07/24
先週、ラジオネーム「みかん」さんから「さまざまありがとうございます」の違和感についてお便りを頂戴し、お答えしました。
なんと、きょうはそれに関連して「わざわざありがとうございます」と言う若手社員が結構いる、というお便りを「つみたてニーサン」から頂戴しました。いつもありがとうございます。
...
Published 09/30/24
新装開店してから初めて、ラジオネーム「みかん」さんからお便りを頂戴しました。ありがとうございます。今回は、「みかん」さんからのお便りをもとに考えていきます。
「みかん」さんのお便りを紹介します。「はじめまして、いつも楽しく学ばせていただいております。...
Published 09/23/24
以前「エントリーシートに絶対書いてはいけないこと」という話をしました。そこでは「いままでで一番辛かったこと」を取り上げたのですが、今回は単純に「長所」と「短所」をどう書くか、についてお話ししたいと思います。
奥ゆかしい人に取っては、長所を書くことが結構難しいですよね。大きな災害などがあった年には「寄り添う」「癒やす」というのがトレンドワードのようになって、誰もが同じことを書いてきます。
こうした例を除くと、大体「リーダーシップがある」「責任感がある」「我慢強い」などのことばが並びます。
でも、これは表層的なものですよね。スポーツ経験者なら、この三つのことばのどれかは当てはまりそうです。スポーツ経験者に限らず、だれもが使えることばなんです。これだけ書いても、面接の時に機能しません。「どうしてそう思うのですか?」という質問が必ず出ます。結局、それに答える間に時間切れになって、面接での会話が深まらないんです。
この時に必要なのが、「WHY」という問いかけです。なぜ...
Published 09/17/24
先週、告知もせずお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。体調を崩して声が出なくなってしまったため、番組をお届けできませんでした。今後こうしたことがないよう、健康管理に気をつけるようにします。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。
志望動機をどう書くか、はなかなか難しいのではないでしょうか。会社を何社か受けるわけだから、一つひとつの会社に同じだけの思いがあるわけではないですよね。僕は新聞社を受けました。第一志望があったとしても、同業他社会社も受けましたし、一般企業だって受けるわけです。全てを正直に話すわけにはいかない、ということを前提に志望動機を書き、面接を受けるわけです。
僕が面接を担当したなかでも、志望動機が迷走してしまった受験生がいました。最終の役員面接にあげたのですが、そこで志望動機を聞かれて、「育児制度が充実しているから」と答えたんです。ところが、明らかに役員の求める答えとはずれています。
「会社に入ってどういう仕事がしたいですか」と再度、質問を変えて聞かれたのですが「男性も出産休暇・育児休業が取れるのは素晴らしい」と答えました。
今度は違う役員が「校閲の仕事を...
Published 09/09/24
前回、内定をもらった時の承諾などの電話連絡について、お話ししました。今回はメールでの対応についてお話ししたいと思います。
電話もメールも基本的には、同じです。ただし、メールの場合は、返信の仕方に注意が必要だと思います。
一つは「件名」です。新規のメールにすると、採用担当者が折角の返信をなかなか探せなかったりするので、件名は「RE:」のままでいいと思います。たとえば「採用結果のご連絡_○○株式会社」 とあれば、そのまま「RE:...
Published 08/26/24
内定をもらった時の承諾などの連絡について、考えてみたいと思います。今回は、電話の場合について、お話ししていきます。
相手から電話があったときの第一声はとても重要です。「はい、前田です」より「はい、前田でございます」という方が丁寧です。「〜でございます」は社会人として覚えておいてほしい言い方です。勤めてからも「○○会社総務部の△△でございます」と答えるのが常識です。クライアント。お客様に対する第一声で印象は変わります。
学生時代は親しい友人同士としか話をしていないので、どんなやり取りであっても特段問題にはなりません。ところが、社会に出ると、全く知らない人から様々な要件の連絡が入ります。その時に、「です」より丁寧な言い回しとして「でございます」という言い方をスムーズにできるようにしておいた方がいいと思います。
スマホなら、電話の相手がわかるので、それに応じてきちんと使い分ける練習をしておくべきでしょうね。
電話が鳴って、就職試験を受けた会社だとわかったら「○○でございます」と言って、電話に出るんです。すると「〇〇株式会社〇〇部○○です。○○さまのお電話でお間違いないでしょうか」...
Published 08/19/24
前回、前々回に亘り「御」について、話をしてきました。きょうは、もう一つ「御中」について、お話ししたいと思います。メールや手紙を出すときに、宛て名の後に付ける「御中」や「様」の使い分けは、さほど迷わないかもしれませんね。
会社、組織に宛ててメールや手紙を出すときには「御中」。人に宛てて出す時には「様」です。「御中」はもともと明治時代以前に、脇付として使われていた「人々御中(ひとびとおんなか)」の「人々」が省略された形です。
「様」と「御中」を一緒に使うのは、いただけないので注意が必要です。たとえば「未來交創株式会社人事部 御中 前田安正様」は、NGです。「未來交創株式会社人事部 御中」もしくは「未來交創株式会社人事部 前田安正 様」とすべきです。...
Published 08/12/24
「御社」という言い方が、 相手の会社を敬っていうことばだということは、ご存じだと思うのです。同様の意味で「貴社」という言い方もあります。
辞書を引くと御社も貴社も「相手方の神社や会社を敬う」ことで、同じ意味です。でも、使い分けがあるようなんです。御社が話しことばのときで、貴社が書きことばのときだというんです。この違い、ご存じでしたか?
僕が入社試験を受けたころには、御社は使わなかったように思うんです。それで「御社」がいつから使われるようになったのかを調べてみました。大辞泉という辞書には、1990年代の始めころからと書いてありました。貴社は、同音の言葉が多いので、紛らわしいので、御社が、主に話し言葉において使われ始めたというんです。
確かに同音のことばが多いかもしれません。「記者が汽車で帰社した」という早口ことばもありましたもんね。この場合の「記者」は新聞記者の記者、「汽車」は蒸気で走る、いわゆるSLのこと、「帰社した」は、出先から会社に戻ることです。紛らわしいと言えば紛らわしいかもしれません。
話しことばでは、聞き間違いがないようにする、という配慮は必要です。だからと言っ...
Published 08/05/24
敬語って難しいですよね。僕も得意ではありません。間違って使ったことはないと思うのですが、完璧か、と言われると自信はありません。きょうは敬語の時に、ことばの最初に「お」をつけるのか「ご」をつけるのか、について考えていきたいと思います。
「ご」も「お」も漢字で書くと「御」です。「ご」は、おもに漢語の名詞などに付いて、尊敬の意を表します。「ご意見を尊重します」「ご両親」「ご家庭のみなさま」といった類いです。
動作を表す漢語にも付きます。人の行為に対する尊敬の意を表す。「ご帰国なさる」「ご説明くださる」といった使い方です。「ご案内申しあげる」「ご招待いたします」「ご紹介する」の場合は、相手を敬って、自分の行為をへりくだっていう言い方です。漢語の名詞に付いて,丁寧・上品にいう場合もあります。「ご飯」「ご馳走」がそうです。
「お」は、おもに和語の名詞などについて、敬意を表します。名詞に付くと敬意だけではなく、相手のもの、相手に関するものであることを表すします。「あの方のお帽子」「お子様」などです。「お茶」「おしるこ」などは、丁寧な言い方です。
「なさる」「になる」「遊ばす」「くださる...
Published 07/29/24
メールの書き方って気になりませんか? 初めてのメールなのに、自分の名前をフルネームで書いてこない人が結構いるんです。しかも、署名部分も名字だけだとなると、返信のときに、相手の名前をフルネームで書けないので困ることがあります。
以前、メールを頂戴した方に直接連絡を取る必要があって、電話をしたことがあります。そうしたら、同姓の人が何人かいたらしく、フルネームがわからないので相手が見付からないということがありました。電話口で対応してくれた方も戸惑っていました。
毎日、何通かメールが届くのですが、ほとんどがメールの初めに「いつもお世話になっております。○○会社の××です」って書いてあるんです。会社名とか所属部署は書いているのに、名前がフルネームじゃない。これってどういう意識なんだろうって考えてしまいます。
採用面接の挨拶’でも「○○大学の××です」って、名字だけのことが多いんです。もっとも、エントリーシートを手元で見ながら面接しているから、フルネームは必要ないといえばそうなんですが、それだと、出身校も名乗る必要はないということにもなりまし。最初の挨拶としては、きちんとフルネームで伝...
Published 07/22/24
スポーツ選手には筋肉が必要です。大谷選手もそうですよね。ところが、筋肉はつければいいというものではないんです。パフォーマンスを出すためにきちんと使いこなせるものでないと、かえって体を痛める原因になってしまう。実は、ことばも同じで、使いこなせないと、とんでもないミスを犯すことにもなりかねないんです。
業績シートをメールで送って来た人が、最後に「宜しくご拝受ください」って書いてきた例があります。ええ??って、我が目を疑ったことがあります。
「拝受」は、受け取った側がその返事のときに使うもので、送る側が使うものではないんです。「拝受」の「拝」は、本来「ひざまずいてぬかずく礼」「組んだ両手を挙げて上体を曲げる礼」のことです。だから、敬意表すべき人に関わる自分の動作や行為の前につけて謙譲の意を表すことです。つまり「謹んで」という意味なんです。だから「宜しくご拝受ください」というのは、「ご」が尊敬語で「拝受」が謙譲語というふうにねじれているのです。
「拝受」ということばを知っていても、どういう場面で使うのかがわからないと言葉が機能しないし、常識を疑われてしまいます。業績シートにどんない...
Published 07/15/24
ことばって雰囲気で使っていることの方が多いすよね。「雰囲気」も「ふいんき」っていう人も多いそうです。私の母は、「ブランド」のことを「ブラインド」と言い間違えていたし、「雲泥の差」をなぜか「うんぜいのさ」って言っていました。
言い間違えの類いは、日常会話なら笑っていられるのですが、就職や転職の場では。とんでもないことになる場合があります。ある人事担当者から、メールに書類を添付して提出してきた受験生が「宜しくご査収ください」と書くところを「宜しくご査証ください」って書いてきて驚いた、という話を聞いたことがあります。「査証は、VISAのことなのにねえ」って言うんです。
「査収」は「金品・書類などを調べて受け取る」という意味です。「査証」は「調べて証明すること」です。「査」は「調べる」という意味があります。査収も査証も「調べる」という点では一致しています。「考査」は「調査して検討する」こと。つまり、「試験」という意味です。「捜査」は「「まさに調べること」です。
ことばって周辺の言語環境に影響されるんです。その地方独自に流通することばを「方言」と言うんですが、これは「会社・組織」「仲...
Published 07/08/24
最近、「〜だと思っていて・・・」という表現が気になります。「思っています」と言いきらないのでスッキリしないし、「思っていて」の後に、長々と理由や言い訳めいた話を続けるんです。これは、どういう話の構造なのだろうと気になります。
「思います」というのは、いろいろな使い方がありますが、「〜と思う」という形で、話し手の個人的な判断や推量であることを示すものです。たとえば「その判断は正しいと思う」「明日は晴れると思う」というように、そこで文がいったん終わるはずなんです。ところが、「〜だと思っていて・・・」は、終わらないんです。
面接で「その判断は正しいと思っていて・・・」と言われると、それが正しいという判断をしながら、その反論を言おうとしているのか、正しいとした判断の補足を言おうと思っているのかが、わからないんです。結論が出ているのか出ていないのかがわからない。つまり、自信がないんだな、と受け止められてしまいます。さらに言うと、話が長い、もっと端的に話してください、という印象になってしまいます。
自分の意見を伝えるときには、はっきりと主張しなければなりません。英語の授業の時に「I...
Published 07/01/24
番組リニューアル後、早速、お便りを頂戴しました。常連のつみたて兄さんからです。いつもありがとうございます。テレビの食レポなどを見ていると、「早速、いただいてみたいと思います」という表現をよく聞くのだけれど、今すぐ食べるのだから「思います」というのは、おかしいのではないか、という内容です。
つみたて兄さんは、企業の採用担当にも関わることがあるそうで、面接やエントリーシートの内容を見ていて、ことばの使い方について、度々気になってきたとのこと。細かなところだけれど、もうちょっと配慮すれば印象が変わるのに、もったいないなぁ、と思ってきたのだそうです。
「早速、頂いてみたいと思います」に対する違和感のポイントの一つは、「みたい」の「たい」だと思うのです。「たい」というのは助動詞で、「面白い本が読みたい」「旅行に行きたい」というように「話し手の希望」を表すんです。
「食べたいなら食べればいい」「勉強がしたくてもできない人がいる」となると「話して以外の人の希望」を表します。「ある」「である」などについて、他に対する願望を表す場合もあります。「〜してほしい」「〜であってほしい」という意味で...
Published 06/24/24
いまどきのエントリーシートは、パソコンでつくって会社に送付するのが一般的でしょうか。
僕のころは、すべて手書きだったので、結構しんどい思いをしました。字も丁寧に書かなくちゃいけないし。
校閲の試験を受けたときは、面接担当者から「君の字は読みやすいね」と言われました。くせ字だし決して上手くはないのですけどね。
その質問の趣旨を入社後に聞いたら「校閲は乱雑な字を書くに人には向かないから」と...
Published 06/17/24
100回を超えたポッドキャストことばランドは、今回からシーズン2に入ります。オープニングも変わりました。「ことばで未来の扉をひらく」をコンセプトに、ことばから就職や転職、人事を考えていきます。
シーズン1では、ことばの変遷などを眺めながら、その時代や社会のなかで生きていることばなどについて、ちょっとした蘊蓄や感想などをお伝えしてきました。いわば、ことばの教養についてのお話でした。今回から、実際の生活に役に立つ実用的なことばを取り上げていこうと思っています。
先日、100回を記念して、スタッフ3人で小籠包を食べにいきました。そのときに、「もう少し、実践で役立つものにしてもいいかな」という話をしたんです。そうしたら、その2日後に知り合いから「エントリーシートが書けないで困っているという方がいるから相談に乗ってもらえないか」という話がきました。嘘みたいな話なんですが、時々そういう偶然が訪れることがあるんですねえ。だったら、いま就職活動とか転職を考えている人向けにお話ししようかな、と思い立ったわけです。
実は、10万部超の『マジ文章書けないんだけど』(大和書房)は、エントリーシート...
Published 06/10/24
「茶摘み」っていう歌に「夏も近づく八十八夜」という歌詞があります。この歌は、1912年(明治45年)に刊行された『尋常小学唱歌・第三学年用』に載っていたものです。八十八夜っていつから数えてなのか、わかりますか?
八十八夜は、雑節の中の一つです。立春から88日目の日。現行の太陽暦では5月2日頃のことです。茶摘み・養蚕など、農作業で農家は忙しいとされます。雑節は、二十四節気以外の季節の移り変わりの目安となる日の総称なんです。他にも土用とか、節分、お彼岸、入梅、半夏生、二百十日などがあります。二十四節気は、立春、雨水、啓蟄とか季節ごとに6つずつ設けられています。二百十日は、台風が来る季節だよ、ということを教えてくれるサインにもなっています。
二十四節気の立夏は、5月6日ころ。ここから夏の季節が始まるというのです。八十八夜が過ぎて、夏がやってくるということです。だから「夏も近づく」なんです。暦の上で梅雨期に入る日を入梅(にゅうばい)といい、これが6月11日頃です。日本は、自然の動きをよく見て、季節を感じ仕事をしていたんですね。
◇◇◇
『伝わる文章がすぐ書ける...
Published 06/03/24
先日、「伝わる文章がすぐ書ける接続詞のコツ」の出版セミナーを開きました。150人を超える応募があって、たくさんの方が参加してくださいました。ありがとうございました。
その時に、20近い質問を頂戴したんです。そのなかで「会社に提出する文書は、難しく書いた方がいいだろうか」というのがありました。この感覚、わかるような気がしますよね。
文章を書くときに、どうしても権威づけするような感じになるんですよね。そのため、わかりやすく優しい文章だと、子どもっぽいと思われるのではいか、という疑心暗鬼がもたらす誤解なんです。
むしろ、難しく書けるのならそれでもいいと思うのですが、大抵は失敗するんです。難しく書いているつもりが、まったく内容の伝わらない文章になってしまうからです。難しくて理解される文章を書くなんて、相当の腕がないと書けません。僕らレベルなら、わかりやすく簡潔に書く方が、よほど楽なんですよね。
これとよく似たことを言われるのがオノマトペです。オノマトペを使うと子どもっぽい文章になるって言うんです。これもある種の偏見です。宮沢賢治の文章が子どもっぽいとは思えないしね。『グスコーブド...
Published 05/27/24
僕は「出身」と言われると困りんです。辞書によれば、「出身」は、どこを経て現在に至ったか、ということで、出生地や卒業した学校、勤めたところ、社会階層なども含めたものなのですが、一般的には「生まれ育ったところ」というイメージで使われています。僕は、父が転勤族だったので、引っ越しも多く、出身と言われてもピンとこないんです。
「地方」ということばがあります。最近では「地方創生」ということばもよく見聞きします。僕はこの「地方創生」っていうことばに、違和感があるのです。どの視点で見てるんだろうと思うんです。
辞書を引くと「地方」は、「首都以外の地域」って書いてあるんです。どうも、中央集権型のお上的意識がプンプン匂ってくるんです。「地方創生」ということばにも、そういう感覚が漂っているような気がしてならないんです。「地方創生」の基本政策を定めた「まち・ひと・しごと創生法」にも「地方」について、明確に定義していないんです。
僕は、町村議会の広報研修に行く機会が年に数回あります。そこで、確かに「まもなく過疎指定になる」という声も聞きます。2022年度には、総務省が「過疎地域」に指定する自治体が...
Published 05/20/24
トヨタ自動車は昨年度(2023年度)1年間のグループ全体の決算で、本業のもうけを示す営業利益が5兆3500億円余りとなり、日本の上場企業で初めて5兆円を超えたそうです。
売り上げにあたる営業収益は、前の年度から21.4%増えて45兆953億円となり、過去最高を更新したんですって。すごいですね円安の利益があったとはいえ、ハイブリッド車を中心に販売が好調だったんだそうです。このトヨタ自動車の会社で使われてきたことばが、ビジネス用語になったものがいくつかあるんです。
その一つに「カイゼン」ということばがあります。漢字の「改善」という言葉では、「悪い部分を良くする」という意味です。それに対して、トヨタではカタカナの「カイゼン」に「現状を満足せず、今よりもっと良くする」という意味を持たせているんだそうです。自ら課題を認識し、自ら対策を考え、改善していくということなんですね。このことばはローマ字表記として、「KAIZEN」として世界的にも活用されています。
もう一つが「乾いた雑巾を絞る」です。これは、徹底的に無駄を省いて収益につなげるという意味で使われています。すごいですよね。問題が起...
Published 05/13/24