EP#82 褒めているわけではないのに、なぜ「いい年をして」って、言うんだろう。新年第1回は、「いい年」の「いい」について。ことばランドを聴いて、いい年にしましょう!
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明けましておめでとうございます。
昨年はたくさんのリスナーの方に応援していただき、ありがとうございました。
本年も楽しいことばの世界をお伝えしていこうと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
新年第1回目の月曜が、元日です。幸先がいいですね。「いい年」っていうのは、よいことのある年。特に新年を祝っていうことが多いですよね。「いい年でありますように」などと使うでしょ。
ところが同じ「いい年」でも「いい年をして、恥ずかしくないんですか」なんて言われると、とたんに「いい年」のイメージが違ってきますよね。この場合は年齢を指すことばです。
昨年、番組で「いい年」って何だろうという話題が出で、リスナーの方からも「ぜひ聞きたい」というリクエストを頂戴したものです。「いい年」というのは、それ相当の年輩であるとか、分別盛りとか、ある事柄に適当な年頃っていう意味なんですが、その年齢に不相応であるというあざけりの意をこめて使う場合が多いんです。いわば、反語的に用いる使い方なんですね。
それで、「見苦しい。みっともない」っていう意味になるんです。「いい気になる」「いい恥さらしだ」なんて具合に使いますよね。さらに「十分過ぎる」とか「その必要がない」っていう意味も含んでいます。たとえば、「酒はもういい」といえば、「もう酒は必要ない」「酒はもう飲まない」っていう意味になるでしょ。
「いい」「よい」の使い方もありますよね。「いい」は、話しことばを中心に使われます。「いい年をして」「いい御身分だ」「いい迷惑だ」というように皮肉をこめた言い方、相手を非難する言い方では「いい」を使って、「よい」はあまり使わないですよね。面白いことに、「よい子」は本当にそうだという肯定的な評価なんですが、「いい子のふりして」「いい子ぶって」「いい子ふうを装う」なんて皮肉がこめられると「いい子」になります。
ことばって表の意味と、それの反対の意味を持つことがあるんです。「ばか」という言葉も、叱責する場合と、いじらしく思う気持ちの場合と、甘える時に使う場合とで意味が違ってきますもんね。
今年も、言葉のあれこれを考えながら、楽しくいい年にしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
リスナーのみなさまにとっても、輝かしい一年になりますよう祈念しております。
◇◇◇
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Published 10/28/24
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