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先日、新聞の投書を見ていたら、定年退職をして再雇用で働いている夫をねぎらおうと、日帰り旅行をした妻の話が載っていました。妻は夫のために、電車の時間や好物の料理などを調べたんだそうです。
ところが、夫は大荷物で出かけ、予定がどんどん遅れて、あげくに途中で立ち小便をするわ、電車では大きないびきをかいて寝てむせこむわ、の残念オンパレードだったそうです。ホテルでお茶をしようと思っていたら、安いチェーン店に変えられたり、夫は地酒を買うけど妻の欲しいものは聞かない。おでん屋で追加注文したものは全部夫が平らげる。それで蛙化してしまったんだそうです。
なんで蛙なんだろう、と調べてみたら、グリム童話の「かえるの王さま」に由来する心理用語なんですね。2004年に跡見学園女子大学の藤澤信介先生が「女子が恋愛過程で遭遇する蛙化現象」という論文から生まれた言葉なんです。
いまは、投書の例にあるように、 ある行動や態度を見て、好きだった相手が嫌いになるという意味で使われるようになっているようです。たとえば、レストランにいって注文するときに横柄な態度を取るとか、食べ方が汚いとか、マナーが悪いとか、そういう現場に立ち会って、スーッと冷めてしまうというときに使うようです。これは、わかる気がしますね。
2023年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンにも入っていたらしいんです。これ、見落としていました。投書に登場した定年退職の夫も、気を許せる妻の前で見せる一種の甘えなのかも知れません。妻も夫には悪気はないのだろうと思いつつ、この日一日で30回ほど蛙化したそうです。
蛙さんには、何とも気の毒な話ではあります。
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