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右と左という漢字の、1、2画目の書き順が違うのをご存じですか?
右も左も、腕と手首の先の象形なんです。横棒が意味するところが違っていて、右の横棒は腕、左の横棒は手首の先の部分を示しているんです。腕は手首の先より長いでしょ。だから、右の横棒は左の横棒より長く書くんです。カタカナのノのような左払いは、左の方が右より長いんです。辞書を見てみると形の違いがわかると思います。
で、短い部分は長い部分より先に書くというのが、右と左の書き順のミソ。だから右はノが1画目で、横棒が2画目。左は横棒が1画目でノが2画目になります。腕とは関係ないけれど、「布」や「有」は、ノが横棒より先。「在」は横棒がノより先。
ところで、律令制度の官名なんですが、左大臣と右大臣、どちらが偉いかわかりますか? これは、左大臣の方が偉いんです。一般的に「左」の方が「右」より上なんです。正面から見ると、左大臣は右側に位置していて、右大臣は左側なんです。これは、内裏いる天子から見ての左右なんです。この「左右」も、左が先でしょ。左が偉いんです。
ちなみに、京都の右京区、左京区も内裏・天子のいるところから見ての言い方です。天子は公的は執務や儀礼は、対極殿で行います。その時には背を北にして南面に座るんです。 従って右手は西で、左手が東になります。天子の居住する内裏は京の北端に位置しているので、そこから市街地に向かって西側を右京、東側を左京としているんです。
ところが、「左遷」ということばもあります。これは、中国の戦国時代は、右の方が左より上位だったんです。それで、左に降りる「左降」っていう官位を下げられる意味がありました。漢和字典にも「右」には「高貴なさま」とあり、「左」には「下位、低い位置」と書いてあります。時代によって右左の位置が違うんですね。
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