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「この答え、違くない?」とか「この答え、間違ってなくない」とか。「・・・くない」の使い方がしっくりこないんです。ほかにも「違かった」「違くて」なんて言い方もありますよね。
これは、「うまくない」「正しくない」という形容詞の否定のときに使う「・・・くない」が、間違って「違う」という動詞に接続された形なんです。本来、形容詞の活用になるものが、動詞の活用語尾についた形です。
「うまい」は、「うまくない、うまい、うまければ、うまくて」というように、あとに続くことばによって、語尾、言葉の後ろが変わるんです。これを活用と言います。ここに「うまくない」という形が出てきます。「違う」という動詞の場合は、「違わない、違う、違えば、違った、違って」となります。
だから、本来「この答え、違わない?」という言い方になるんですが、形容詞の活用が入り込んでしまったんですね。中には、「違う」は、動詞だけれど、状況を表す形容詞的な意味合いが強いので、形容詞の活用に引きずられたという意見もあるけれど、確証は持てない感じです。
「うまくなくない?」は、「うまくないことはない」という二重否定で、結果として「うまい」と言っているんですね。「好きくない」っていうのも時々耳にします。「好き」は形容動詞なので、「好きだ」というのが終止形です。これも、「好きでない、好きだ、好きならば、好きだった、好きで」と活用するので、「好きくない」は、形容詞の活用に引きずられているんでしょうね。
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