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前回、「親父の繰り言」と言ったら、江川さんが「それどういう意味ですか?今度聞かせてください」ということでしたので、今回は、「繰り言」を機に、もう使われなくなった「死語」について、話をしてみようと思います。
「繰り言」は「繰り返しいうことば」という意味です。どちらかというと、愚痴などを何度も繰り返して言うことなので、いい意味では使われません。辞書には「老いの繰り言」という例文が載っています。つまり、老人の愚痴ということ。「最近の若いもんは〜」みたいな感じですかね。
「繰り言」は、流行語ではないので、時代によって使われなくなるようなことばではないのだけれど、すでに三世代同居ということもないし、そういうことばを使うシチュエーションがないのかもしれません。
ジェンダーの意識が広がって消えたことばの使い方もあります。たとえば、野球のキャッチャーを「女房役」なんて少し前まではよく使われていたけど、いまはもう使われなくなった。これは「女房役」は、ピッチャーの球を受ける受け身の役目であったり、ピッチャーを補佐しているという意味合いで使われてきたように思うんです。ところが、いまはキャッチャーというのは、守備の要だということが認識されているし、妻を受け身だとする考え方もなくなってきました。こうした比喩表現が時代に合わなくなってきたのだろうと思います。
会社員の働き方が変わってなくなったことばが「半ドン」。40年ほど前まで、週休1日で、土曜日が午前中までの半日出勤だったんです。午前中なでのことを「半ドン」と言ってました。ドンはオランダ語の「Zondag」(ゾンターク)から来ていると言われて、その意味は「日曜日」とか「休日」という意味です。
元々着物を掛けていた「衣紋掛け」も「ハンガー」になったし、「筆箱」「下駄箱」なんてことばも以前、お話ししたかも知れません。筆も下駄もないのに、これはいまでも理解できる。ダビングなんてことばは、どうでしょうね。ビデオや音楽などのデータをコピーすることです。
流行語なんて、1、2年で消えていきますものね。朝シャンとかチョベリバ、ナウい、マジ卍なんて、もう使わないでしょ。ことばは生き物だということなんでしょうね。
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