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前回、「ご苦労様」「お疲れ様」「了解しました」について、お話ししました。これについては、「つみたて兄さん」という方からお便りを頂戴していたことを紹介するのを失念していました。申し訳ありませんでした。 「つみたて兄さん」ありがとうございました。
今回は、SNSなどの広告などでよく見かける「不」について、考えてみたいと思います。
「不必要」「不確か」の「不」は、「…でない」「…しない」の意味を表すでしょ。「…が悪い」「…がよくない」の意だと「不手際」「不出来」っていうことばがあります。SNSなどでは、よく「不」の意識を刺激します。「不安」「不満」「不足」「不確か」「不幸」「不便」「不都合」とか。これは、社会課題を表すキーワードでもあり、それを解決する際のキーワードでもあることはわかるんです。でも最近、多くないですか?「老後に不安はありませんか」「NISA始めないとまずいですよ」「健康に自信はありますか」「顔のシミ、気になりませんか」などがそうです。「不」を煽ることが多すぎる気がするんです。
そして「その不安にお答えする商品・サービスがこれです」みたいなサイトに誘導されて「いまなら25%オフとか」いう特典を提示されて、定期契約不要とか安心材料を見せられる。そうすると、お得な感じがして「ポチ」っとしてしまう。ちゃんとした商品もあるけど、怪しいものもあるでしょ。僕は、このパターンを信じていないんだけど、信じちゃう人も結構いますよね。接触率が高いと信じやすくなるからです。
この「不安を煽る」商法がずっと続いているってことは、みんなが不安を抱えているということでもあるのだと思います。一方で、「あなたなら大丈夫」「この映像に出会えたあなたは幸せです」とかいうスピリチュアルな感じのものだったり「神アプリ」「○○5選」だったり、発想の貧弱さと語彙の貧弱さに辟易しちゃうんです。
ことばを盛ってバブルな感じになっている分、ことばの奥行きが失われて薄っぺらく感じてしまうんです。語彙のなさってその辺にも依るのではないかなあ。
いつも何かに責め立てるような感覚で「不」を語るのは、やめた方がいいと思うし、こういう仕立てでつくられた広告はいかがなものか、と思うのだけど。
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