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先日朝、「きょうは夜、仕事で五反田に行く」と娘に話したんです。昼頃になって「オランダってどこにあるの?」って娘が聞いてきたので、「ヨーロッパだよ」って答えると、「パパはきょうヨーロッパに行くの?」って言うんです。何のことだかわからなかったので「なんで?」と聞き直すと「だって、きょうオランダに行くって行ってたじゃない」。「オランダじゃなくて五反田だよ」。「え。五反田って日本?」だって。
オランダと五反田、似ているような似ていないような。娘にとっては、五反田よりオランダの方が馴染みがあったんでしょうね。こういう聞き間違えありますよね。江川さんはアナウンサーだから、気を使うんじゃないですか?
僕も小学校に入学して間なしの頃、担任の先生が休み時間に「牧場にいって用を足してらっしゃい」と声を掛けたんです。家に帰って母に「今日、牧場でおしっこしたんだよ」と報告すると、笑って「それはご不浄」だって言うんです。トイレのことを「ご不浄」っていうなんて知りませんものね。
子どもの頃「ふるさと」っていう唱歌を習ったときに「うさぎおいしかの山」っていう歌詞があって「ウサギを食べて美味しかった」という意味だとずっと思ってたり、童謡「赤とんぼ」にも「おわれてみたのはいつの日か」の「追われて」は「追いかけられて」という意味だと思っていたのですが、あれは「負われて」で「おんぶされて」という意味だということを知ったのはだいぶ後でした。
ちなみに唱歌も童謡も子ども向けの歌なんですが、唱歌は明治時代に学校制度ができてから1941年までにつくられた学校用の歌のことです。明治時代に、西洋風の学校制度をつくった際に音楽の授業が始まって、つくったものなのです。「蛍の光」なんて卒業式の時に歌ったりしますが、元々スコットランドの民謡ですもんね。曲に日本風の歌詞を付けたんです。
童謡は大正時代に入って、日本独自の子供向けの音楽をつくる動きができたんです。「赤い鳥」っていう児童文芸雑誌から生まれたんです。野口雨情、西条八十、北原白秋が「童謡三大詩人」と呼ばれた詩人です。野口雨情作詞、中山晋平作曲の「シャボン玉」、西条八十作詞、中山晋平作曲の「肩たたき」、北原白秋の詩に山田耕筰が曲を付けた「この道」などがあります。いまは、歌謡曲が学校の教科書に載ったりするそうですね。
話を元に戻すと、話ことばは特に、自分の知らないことばが飛び出すと、自分の経験に結びついたことばに変換してしまうんですね。小さい子が百貨店の「高島屋」を「たかしやま」って言うのをきいたことがあります。こどもにとっては「高い」ということばと「やま」は馴染みがあるから「たかしやま」になっちゃうんでしょうね。
以前放送していた「タモリ倶楽部」でも「空耳アワー」というコーナーがあったんです。外国の歌が、妙な日本語に聞こえるというもので、ファンも多かったと思うんです。ビートルズの「抱きしめたい(I wont to hold your hand)」のさびの部分が「アホな北条は〜ん」に聞こえるとかね。これ、一回はまると、もうそれ以外に聞こえなくなっちゃうです。空耳は子どもだけじゃないんですね。
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1月17日に『伝わる文章がすぐ書ける 接続詞のコツ』(前田安正著、す