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「一寸法師」っていう昔話を読んだことがあると思います。この「一寸」って尺貫法での単位です。一寸は大体3.03㎝。尺貫法というのは、長さの単位を尺、質量の単位を貫、体積の単位を升とする日本古来の度量衡のことなんです。
今のメートル法が基準となったのは、1885年(明治18年)にメートル条約に加入後のことなんです。1891年(明治24)にメートル法を基準として、尺・坪(面積の単位)・升・貫を定義て、1958年(昭和33)までメートル法と併用されていました。
でも、今でもこうした単位は、ことばの中に生きているんですね。小さな生き物にも魂が宿っているんだという意味で使われる「一寸の虫にも五分の魂」ということばもあります。「一寸先は闇」は「未来のことは全く予測することができない」という意味だし、「一寸下は地獄」は、船乗りの仕事が危険だということに使われて「薄い船板一枚の下は底深い海だ」という意味です。「板子一枚下は地獄」なんて言い方もあります。「寸分の狂いもない」「寸分違わず」とかね。「寸を詘(ま)げて尺を信(の)ぶ」というと「小事にこだわらずに大事を成し遂げる」とか「小利を捨てて大利をとる」という意味です。
今でも、居酒屋さんに行くと「一升瓶」とか「一合」なんてことばを使うでしょ。お酒の容積を表しているんです。「一升」は「十合」で1.8リットル。「裸一貫からたたき上げた」というと「一文無しの状態から財をなした」というような意味で使われます。「一文」もお金の単位で「一貫の千分の一」を言ったものです。令和の時代になっても、生活に根付いたことばは、残っているということなんですね。
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