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序)詩篇 37 篇は歌付きの箴言(知恵のことば)
・聖書のいう知恵とは IQ ではなく EQ=心の知能指数(「自分自身を動機付け、挫折してもしぶとく頑張れる能力、自分の気分をうまく整え、感情の乱れに思考力を阻害されない能力、他人に共感でき、希望を維持できる能力」)に近い。完全な EQ は神様を信じることなしに成立しない。
1)知恵のことば(箴言)を理解するために
・短い格言形式の知恵のことばは、包括的で絶対的な真理ではない。使いどころを間違えると悪い結果になる。(箴言 26:9 参照)知恵を適用するためには状況把握が欠かせない。その能力こそ知恵の一部である。
・例1:32 節は「正しい人(信仰による義人=アブラハムの信仰に倣う者)」であってもいのちの危険はあるという一般論である。
・例2:1,7,8 節は絶対的な禁止命令(破ったら罪)ではない。ネガティブな感情をコントロールすることの必要性と有益性を語っている。
2)知恵を得る前提としての人生に対する態度
・態度1:この世界は自分が富み栄える場所だという態度。「賢い」とは勝者であり「愚か」とは貧乏。
→「繁栄の神学」がとる態度(旧約聖書に偏る)
⇒ご利益信仰に陥り、「悪しき者」になってしまう危険性がある。
・態度2:人生は、いかに自分が正しくあるのか試される期間だという態度。「賢い」とは「正しい」と同義。「愚か」とは不信仰。
→「キリスト教原理主義」「霊肉二元論」に陥る。(新約聖書に偏る)
⇒根本は態度 1 と同じで現世に期待するか来世に期待するかの違いのみ。
・態度3:人生とは、いかにみんなと幸せになれるかを追求する場という態度。「賢さ」は「成熟」である。愚かだと貧しさがやってくるかもしれないが、必ずしも貧しさが愚かさのしるしではない。(16 節参照)
3)「地を受け継ぐ者」として
・「来るべき日」に地を受け継ぐなら、完全な共有社会になるだろう。そこに向かって、今から動き始めるのが「地を受け継ぐ者」の生き方
・経済的な不平等(機会の理不尽さ)を是正する「寛大さ」が善の中に含まれている。21 節、27 節
・第 3 のスタンスは、罪(内)と悪(外)に阻まれやすい非常に困難な道。だからこそ救いが必要であり、詩篇 37 篇はこれを繰り返し励ます。
結)心の目を「全き人」に向けて
・「全き人」とは、十字架を忍ばれた主イエスに集約される。