15世紀にもたらされたグーテンベルクの活版印刷技術は、メディアの歴史を切りひらく革命的なイノベーションでした。活版印刷技術がなければ、ルターの宗教改革が広範囲にわたって大きな力を持つことはなかったでしょう。さらに18世紀後半から始まった産業革命は、印刷とメディアの影響力に拍車をかけ、人々の意識と習慣にあらたな変化をもたらします。第二次世界大戦後の印刷メディアは、政治、経済、文化の原動力、あるいは舵取りとしても機能しました。そして20世紀末に登場したインターネットによって、メディアの歴史はグーテンベルク以来550年以上にも及ぶ紙媒体と人間の関係を大きく変える新たな時代に入りました。印刷メディアは消滅するのか、何が変わり、何が変わらないのか。世界の成り立ちを左右する可能性を含んだものとしてのメディアの歴史、その本質を考えます。