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11月6日から、エジプトのシャルムエルシェイクで、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催されます。
そう、軍事独裁政権が市民を弾圧し、言論を封じ、活動家を投獄し続けているあのエジプトで、グリーンウォッシュと人権ウォッシュのショーが始まります。
COP27が、気候正義問題ど真ん中なんですね。
そんなこともあって、近年の気候ムーブメントを生んだグレタ・トゥーンベリさんは欠席を何度も表明。「最も影響を受けている地域の人々が参加するので、彼らの声が聞き届けられることが重要」と、今回のCOPで目玉になる「ロス&ダメージ(損失と損害)」の制度化を訴える開発途上国のMAPA(最も影響を受ける人々と地域)の声を邪魔しないために欠席することを示唆。実際、COP27に備えて、65カ国の開発途上国から約400人の青年活動家がチュニジアに集まり、大量排出国に「ロス&ダメージ(損失と損害)」を強く求める決意を固めています。そういう声を大量排出国側がかき消すのは環境正義に反するという思いがあるのでしょう。大量排出国側が善意の押しつけで代弁する必要もないですものね。途上国は声を持っているんですから。大量排出国の活動家は、COPとCOPの間の1年を利用して、自国で自国の政治にプレッシャーをかければいいと思います。COPの主役は、開発途上国の弱者です。
それ以外にも、グレタはエジプトの軍事独裁政権によって不当に投獄されている6万人ともいわれる活動家たちへの人権弾圧や自由な言論やデモが規制されていることも、欠席の理由に挙げています。
また、グレタさんは「数多くの人権侵害を犯している国の観光客の楽園なんて、私は行かない」とも発言しています。たしかに、シャルムエルシェイクはリゾート地で、貧富の差や差別という、気候変動の根本にある環境正義/気候正義問題を象徴するような場所ですよね。そこに世界中から集まった活動家たちが、気候正義を訴える。なんて皮肉な光景なのでしょうか。
日本でもおなじみのナオミ・クライン氏は、世界の気候ムーブメントに対して、現地に行く行かないに関係なく、エジプトで弾圧を受けている活動家への連帯を表明するように呼びかけています。ほぼ無視されていますが。
エジプト革命でリーダー的存在だった活動家、アラー・アブデル・ファタハ氏は、現在のシーシー政権がクーデターによって政権を強奪した2013年から、9年間のほとんどを獄中で過ごしてきました。彼は、200日以上ハンストを続けていて、COP27開催にあわせて、現在の1日100カロリーだけ栄養をとるハンストを、水だけに切り替えるそうです。そうすると、COPが終わるまで生きられないと言われています。
彼の家族は、気候正義を訴える気候ムーブメントに対して、エジプトの活動家がそうしてきたように、権力に向かって声をあげるよう求めています。
エジプトで起こっていること、それに対する反応などは、Twitterのモーメントにまとめてあります。チェックしてもらえば、流れがわかると思います。
でもね。だれが何を言ってるかなんて関係ない話なんです。エジプトは、世界の活動家を歓迎する一方で、自国の活動家をCOP期間中のデモを計画しただけで逮捕しています。ダブルスタンダードもいいところです。気候正義がないがしろに