気候ポッド 第52回 ~ 毎年数百万人の命を奪って利益を得る化石燃料産業とゴッホにトマトスープぶっかけ、過激なのはどっち?
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今回のエピソードは、ゴッホの「ひまわり」にトマトスープをぶっかけて注目を集めた市民的不服従運動について話しています。 まずはWikipediaから市民的不服従ってなんなのかを。 『市民的不服従(しみんてきふふくじゅう、英語: civil disobedience)は、良心にもとづき従うことができないと考えた特定の法律や命令に非暴力的手段で公然と違反する行為である。 市民的不服従は、よくある犯罪と異なり、法を破ることが正しいと確信して行われる。不正な法律(悪法)に従うよりも、良心に従って違反するほうを選ぶ。……誰もがわかるように公然と行い、追及する官憲から逃げず、逮捕を妨げようともしない。 市民的不服従の特徴の一つは、逃げも隠れもせず逮捕され、処罰されることにある。違反から利益を得ようとはせず、むしろ進んで不利益を受ける。このため、本当は利己的な動機からしたことで、主張は後から付けた言い訳だろうというような勘ぐり・非難は封じられる』 例としては、非暴力の抵抗を続けたガンジーや、公民権運動のマーティン・ルーサー・キング Jr.などが挙げられます。 活動家たちは、いきなり名画に体を接着させたり、スープや食べ物をかけたりしたわけじゃありません。他の方法を全部試しても政府はパリ協定を満たす気候変動対策を講じてくれない。気候変動や食料危機の影響で失われていく命や、苦しい生活を強いられている貧しい人々、気候変動で深刻化していく未来を憂えるあまり、いても立ってもいられなくなって市民にできる最後の手段ともいえる市民的不服従に出ているんです。やりたくてやっている人はいません。 そんな事情をどこまで理解しているのかわかりませんが、「名画を狙うなんて間違っている」「そんなやり方は逆効果だ」と、活動家を非難する声がほとんどだったような気がします。表面だけを見ると、たしかにそう感じるんですよね。 でも、何十億円もするような絵画は、資本主義や貧富の差を象徴しています。また、ゴッホの「ひまわり」を所蔵している英ナショナルギャラリーは、化石企業との関係を批判されてきた過去があります。 ポッドキャスト収録後に、活動家によってクリムトの「死と生」にオイルをかけられたオーストリアのレオポルド美術館もガス石油企業がスポンサーです。年間に数百万人もの命を奪って利益を得る産業がスポンサーをしている美術館の「死と生」に真っ黒なオイルをかける。メッセージはこれ以上ないくらいハッキリしていますよね。 本当に逆効果なのか?活動家の目的は、メディアの注目を集めること。人々をイラッとさせて関心を引くこと。多くの人たちが気候変動を深刻な問題として捉え、世界中で会話が始まることを願っています。めっちゃ効果的じゃないですか?世界が思うツボちゃんになっちゃってるじゃないですか。怒れば怒るほど、メディアが取りあげれば取りあげるほど、この活動は続くと思います。 ゴッホにトマトスープ後にイギリスで行われた世論調査では、66%の人が非暴力の直接行動を支持しました。専門家は、たとえ的外れに見えるようなものをターゲットにした直接行動でも、時間がたてば人々は根っこにある問題を見るようになると指摘します。また、非暴力の直接行動は人間が対象なので、「ゴッ
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Published 12/04/22
11月6日から、エジプトのシャルムエルシェイクで、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催されます。 そう、軍事独裁政権が市民を弾圧し、言論を封じ、活動家を投獄し続けているあのエジプトで、グリーンウォッシュと人権ウォッシュのショーが始まります。 COP27が、気候正義問題ど真ん中なんですね。 そんなこともあって、近年の気候ムーブメントを生んだグレタ・トゥーンベリさんは欠席を何度も表明。「最も影響を受けている地域の人々が参加するので、彼らの声が聞き届けられることが重要」と、今回のCOPで目玉になる「ロス&ダメージ(損失と損害)」の制度化を訴える開発途上国のMAPA(...
Published 11/05/22