Description
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「県内は前線の影響で大気の状態が非常に不安定になり金沢市では大雨となっていて、金沢市昭和町では午後3時半までの1時間に55ミリの非常に激しい雨が降りました。気象台と県は金沢市に土砂災害警戒情報を発表し、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に警戒するよう呼びかけています。
金沢地方気象台によりますと、30日の県内は梅雨前線の影響で大気の状態が非常に不安定になっていて、金沢と野々市市では大雨になっています。
金沢市昭和町では、30日午後3時半までの1時間に55ミリの非常に激しい雨が降りました。
30日午後4時半時までの3時間に降った雨の量は金沢市昭和町で90ミリ、野々市市で50ミリなどと急速に雨量が増えています。
金沢市と野々市市には午後3時40分ごろまでに大雨洪水警報と土砂災害警戒情報が出されています。
県内はこのあとも大気の不安定な状態が続き、31日にかけて1時間に降る雨の量はいずれも多いところで加賀地方で40ミリ、能登地方で30ミリと予想されています。」
スマートフォンで地域のニュースを見ていた相馬はそれを閉じた。
彼は金沢駅の構内にあった。
現在時刻は16時。そろそろ学生たちが帰宅の途につきはじめる時刻であるが、ここの人手はまばらだった。
この大雨により金沢駅発着の電車は全線運転を見合わせているためだ。
相馬はため息をつく。
ふと外に視線を移すと冴木が姿を消したホテルがあった。
「わかった。そのホテルに捜査員を派遣する。」155
岡田はこう相馬に応えたが、それからこのホテルに捜査員らしき人間がやってきた形跡はなかった。
それもそのはず。このホテルに滞在する白人男性を調べて欲しいと片倉に告げて間もなく、彼から返事があった。
「その白人については公安特課は関わらない。冴木についても一旦保留とする。」
「どうしてですか。」
「その白人は防衛省マターとなる。防衛省マターに公安特課は関わらない。」
「防衛省?」
「そうだ。防衛省だ。あいつらのヤマはスルーしろ。」
ホテルの側に一台のステーションワゴンが止まっている。
助手席の男はパソコンの画面の覗き、運転席の男は電話をしている。この大雨にも関わらず彼らはそこから動く気配はない。
数時間前、このホテルから4名の外国人が出てきた。30年落ちのオンボロ車に乗り金沢駅を発ったとき、一台のハッチバックがそれをつけるように走って行った。
そのとき相馬は思った。
同じニオイがすると。
いま目の前にあるステーションワゴン。この車もまた彼に同じ感覚を抱かせていた。
「防衛省か…。」
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大雨の中、外から激しく窓を叩かれたことに車内の二人は驚きを隠せなかった。
「こんな天気に誰だ。」
助手席の男がわずかに窓を空かした。
「すいませーん。警察ですー。もうちょっと窓開けてもらえますか。傘さしてとるんでもっと開けてもらって大丈夫ですよー。」
「は?警察?」
開けられた助手席の窓から、警察手帳を見せられた。
「お二人ともこんなところで何やっとるんですか?ラジオとかでも言っとるでしょう。大雨警報がでとるんで早めに安全な場所に移動してください。」
「あ、あぁ…ちょっと仕事の打ち合わせしてまして。」
「打ち合わせ?こんな雨の中、車の