194.2 第183話【後編】
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3-183-3.mp3 ドローンが機動隊車両の上空に達したかと思うと、突如として激しい閃光が放たれた。次の瞬間、爆音とともにドローンが自爆し、その衝撃が車両に直撃する。 軽めの爆発音 爆発音は雷鳴のように周囲に轟き、もてなしドームを揺るがした。その音は商業ビルのガラスを震わせ、破片が空中を舞った。 吉川「伏せろっ!」 吉川がSAT隊員に大声で言った。 大きな爆発 車両の中に積まれていた火薬が誘爆した。炎が瞬く間に車両全体を包み込み、巨大な火の玉が金沢駅前を照らし出した。爆風は猛烈で、周囲の車両や建物に衝撃波が伝わり、商業ビルの窓ガラスが次々と割れて粉々に飛び散った。爆風は人々をなぎ倒し、もてなしドームに響く悲鳴が一瞬でかき消された。 爆発の熱気が瞬時に周囲を焼き尽くし、煙が高く立ち上る。黒煙は駅前を覆い、街の美しい景観を恐ろしい戦場に変えた。ビルの上層部からは、火災警報の音が鳴り響き、壊れた窓からは煙が漏れ出す。瓦礫と車両の破片が周囲に散らばり、現場は一瞬にしてカオスと化した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 椎名はSAT指揮車両の中で静かに座り、周囲の惨状を冷徹に見つめていた。 車両のモニター越しに炎に包まれた機動隊車両が見えた。爆発によって吹き飛ばされた瓦礫が、無秩序に散乱し、黒煙が空高く立ち上る。金沢駅の景観は、戦場そのものに変貌していた。SATの隊員たちは必死に無線で指示を飛ばし、混乱する戦場の制御に努めているが、その状況はもはや崩壊寸前だった。 椎名は心の中で冷笑した。彼がもたらした混乱は、着実に戦場全体を飲み込みつつあった。 ウ・ダバも、SATも、トゥマンも、特殊作戦群さえも、すべてが彼の意図した罠にはまり、駒のように動かされている。 SAT隊員からの報告が無線を通じて飛び込んでくるが、椎名はそれを冷ややかに聞き流す。 彼の計画は、この混乱が頂点に達したときにこそ真価を発揮する。その瞬間を待つだけだ。 椎名「戦場は、俺が支配する。」 椎名は静かに息を吐き出して、無線機に手を伸ばした。 椎名「指揮所から各班!こちらは無事だ!各班、状況を送れ!」 この椎名の呼びかけに応える者はない。 椎名「指揮所から各班!各班、状況を送れ!」 呼びかけを何度もするも応答はなかった。 椎名「全滅したか…。」 椎名はほくそ笑んだ。 吉川「…吉川班より指揮所…。」 椎名「!?」 吉川「吉川班…死傷者が出ましたが、自分を含めて10名は無事です…。」 その言葉に、椎名の目が細まり、無意識に眉がピクリと動いた。 椎名「無事だと……?」 一瞬、無表情だった椎名の顔に、微かな驚きが混じる。しかしすぐに冷静さを取り戻し、静かに微笑んだ。 彼は椅子にもたれ、無線機をじっと見つめた。吉川の存在は予期していなかったが、それは致命的な問題ではない。戦況はまだ彼の掌の中にある。 ただ少し、調整が必要なだけだ。 吉川「SATは当班を除いて壊滅状態です。ウ・ダバも同様。アルミヤプラボスディアと特殊作戦群も相当の被害が出ている模様。当班は指揮所まで一旦待避し、体勢を整えたい。」 冷静な良い判断だ。椎名は吉川の申し出に感心した。 椎名「わかった。吉川班は直ちに撤退せよ。指揮所にて待つ。」 吉川「了解。」
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3-183-2.mp3 特殊作戦群「こちら特殊作戦群、これよりアルミヤプラボスディア掃討のため現場に介入する。SATは援護を頼む。」 無線の一報が入った瞬間、戦場のすべての勢力が息を呑んだように思えた。 自衛隊の特殊作戦群が戦闘に介入する。 それは、当該部隊が創設され初めてのことである。しかも現場は日本。 すべての当事者が、その異様な光景に困惑し、動きを止めた。 片倉「特殊作戦群やと…。」 公安特課テロ対策本部の片倉がこれ以上の言葉が出ないようだった。 相馬「特殊作戦群…。」 駅交番で児玉と共に待機する相馬も、この部隊名称を呼ぶのが精一杯だった。 森本「特殊作戦群だと…。」...
Published 10/25/24
3-183-1.mp3 外国人観光客の保護を名目に、ウ・ダバの制圧を試みる。それがトゥマンの当初計画だった。だが、その仕込みの外国人観光客が全員殺されてしまった。そのため彼らを保護する行動という名目はなくなってしまった。 先ほどから仁川と無線連絡を取ろうとするも応答はない。 爆発音 トゥマンA「少佐による合図です。」 轟音と共に金沢駅のもてなしドームが煙に覆われた。 トゥマンA「爆発と同時に車両火災が発生した模様。炎と黒煙が上がっています。視界不良。」 この状態ではこちらから伝令を寄こすのも難しい。 トゥマンA「隊長。」 商業ビルの状況を知った上での仁川のこの爆破かどうか...
Published 10/25/24