Description
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ドローンが機動隊車両の上空に達したかと思うと、突如として激しい閃光が放たれた。次の瞬間、爆音とともにドローンが自爆し、その衝撃が車両に直撃する。
軽めの爆発音
爆発音は雷鳴のように周囲に轟き、もてなしドームを揺るがした。その音は商業ビルのガラスを震わせ、破片が空中を舞った。
吉川「伏せろっ!」
吉川がSAT隊員に大声で言った。
大きな爆発
車両の中に積まれていた火薬が誘爆した。炎が瞬く間に車両全体を包み込み、巨大な火の玉が金沢駅前を照らし出した。爆風は猛烈で、周囲の車両や建物に衝撃波が伝わり、商業ビルの窓ガラスが次々と割れて粉々に飛び散った。爆風は人々をなぎ倒し、もてなしドームに響く悲鳴が一瞬でかき消された。
爆発の熱気が瞬時に周囲を焼き尽くし、煙が高く立ち上る。黒煙は駅前を覆い、街の美しい景観を恐ろしい戦場に変えた。ビルの上層部からは、火災警報の音が鳴り響き、壊れた窓からは煙が漏れ出す。瓦礫と車両の破片が周囲に散らばり、現場は一瞬にしてカオスと化した。
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椎名はSAT指揮車両の中で静かに座り、周囲の惨状を冷徹に見つめていた。
車両のモニター越しに炎に包まれた機動隊車両が見えた。爆発によって吹き飛ばされた瓦礫が、無秩序に散乱し、黒煙が空高く立ち上る。金沢駅の景観は、戦場そのものに変貌していた。SATの隊員たちは必死に無線で指示を飛ばし、混乱する戦場の制御に努めているが、その状況はもはや崩壊寸前だった。
椎名は心の中で冷笑した。彼がもたらした混乱は、着実に戦場全体を飲み込みつつあった。
ウ・ダバも、SATも、トゥマンも、特殊作戦群さえも、すべてが彼の意図した罠にはまり、駒のように動かされている。
SAT隊員からの報告が無線を通じて飛び込んでくるが、椎名はそれを冷ややかに聞き流す。
彼の計画は、この混乱が頂点に達したときにこそ真価を発揮する。その瞬間を待つだけだ。
椎名「戦場は、俺が支配する。」
椎名は静かに息を吐き出して、無線機に手を伸ばした。
椎名「指揮所から各班!こちらは無事だ!各班、状況を送れ!」
この椎名の呼びかけに応える者はない。
椎名「指揮所から各班!各班、状況を送れ!」
呼びかけを何度もするも応答はなかった。
椎名「全滅したか…。」
椎名はほくそ笑んだ。
吉川「…吉川班より指揮所…。」
椎名「!?」
吉川「吉川班…死傷者が出ましたが、自分を含めて10名は無事です…。」
その言葉に、椎名の目が細まり、無意識に眉がピクリと動いた。
椎名「無事だと……?」
一瞬、無表情だった椎名の顔に、微かな驚きが混じる。しかしすぐに冷静さを取り戻し、静かに微笑んだ。
彼は椅子にもたれ、無線機をじっと見つめた。吉川の存在は予期していなかったが、それは致命的な問題ではない。戦況はまだ彼の掌の中にある。
ただ少し、調整が必要なだけだ。
吉川「SATは当班を除いて壊滅状態です。ウ・ダバも同様。アルミヤプラボスディアと特殊作戦群も相当の被害が出ている模様。当班は指揮所まで一旦待避し、体勢を整えたい。」
冷静な良い判断だ。椎名は吉川の申し出に感心した。
椎名「わかった。吉川班は直ちに撤退せよ。指揮所にて待つ。」
吉川「了解。」