Description
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外国人観光客の保護を名目に、ウ・ダバの制圧を試みる。それがトゥマンの当初計画だった。だが、その仕込みの外国人観光客が全員殺されてしまった。そのため彼らを保護する行動という名目はなくなってしまった。
先ほどから仁川と無線連絡を取ろうとするも応答はない。
爆発音
トゥマンA「少佐による合図です。」
轟音と共に金沢駅のもてなしドームが煙に覆われた。
トゥマンA「爆発と同時に車両火災が発生した模様。炎と黒煙が上がっています。視界不良。」
この状態ではこちらから伝令を寄こすのも難しい。
トゥマンA「隊長。」
商業ビルの状況を知った上での仁川のこの爆破かどうかは分からない。しかしだからと言ってここでの撤退はあり得ない。アルファの犠牲についてはひとまず置いておこう。そうベネシュは仕切り直した。
ベネシュ「ベータ、ガンマ。聞こえるか。」
トゥマンB「ベータ聞こえます。」
トゥマンC「ガンマ聞こえます。」
ベネシュ「突入開始だ。対象ウ・ダバ。やつらを制圧せよ。」
トゥマンB「了解。」
トゥマンC「了解。」
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爆発音
神谷「始まったか。」
雨に濡れるビルの屋上にいた神谷はフィールドスコープを使って、その様子を見た。
鼓門の下は燃え上がる車両の煙によって視界が遮られていた。
神谷「神谷より一郎。」
一郎「はい一郎。」
神谷「現場の状況はどうだ。」
一郎「爆発を受けてウ・ダバらしき連中がもてなしドームに突入していきます。」
神谷「数は。」
一郎「ざっと見て30。」
神谷「結構いるな。」
一郎「はい。銃を乱射して突撃する感じです。組織だった動きではありません。個人プレーです。」
神谷の耳にも銃の連射音が聞こえた。
神谷「烏合の衆か。」
一郎「そうですね。ですが、装備が充実しています。」
神谷「というと。」
一郎「何名かはRPGを背負っています。きっと手榴弾も装備しているでしょう。あ、SATが突入しました。」
ここで再び何かが爆発する音が聞こえた。
一郎「今、手榴弾が爆発しました。悲鳴が聞こえます。視界不良のためよく分かりませんが、けが人もしくは犠牲が出たものと思われます。」
神谷「SATにか。」
一郎「はい。」
神谷は舌打ちした。
次郎「カシラ。」
横にいた次郎が呼んだ。
神谷「なんだ。」
次郎「もてなしドームの地下広場に武装した外国人の存在多数との情報。アルミヤではないかと思われます。」
神谷「来たか…。」
ーうー
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ベータリーダー「突入開始だ。対象ウ・ダバ。やつらを制圧せよ。」
ベータC「了解。」
ベータD「了解。」
トゥマンのベータ班リーダーが指で上を指す。
彼らはそのまま何の言葉も発さずに動き出した。地下広場からもてなしドームに上がる階段まで来る。
Vサインを作って二手に分かれて行動するようサインを送ると、彼らは整然と無言のまま階段を駆け上がった。
ベータリーダー「SATは無視しろ。ウ・ダバを殲滅する。速やかに少佐と合流、身柄を保護せよ。」
ベータC「了解。」
頭を撃ち抜く音
今ほど了解と言った男がその場に崩れ落ちた。
彼が崩れ落ちる向きと反対側の上空を仰ぎ見たリーダーは戦慄した。
ベータリーダー「с