172.2 第161話【後編】
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3-161-2.mp3 「国土交通省と気象台によりますとこの大雨で石川県の金沢市を流れる浅野川は芝原橋観測所と天神橋観測所で「氾濫危険水位」に達しました。国と気象台は洪水の危険性が非常に高まっているとして「氾濫危険情報」を出して厳重に警戒するよう呼びかけています。自治体の避難情報を確認するとともに浸水のおそれのない場所に移動するなど、安全を確保するようにしてください。」 宿を追い出された古田は避難所である近くの小学校にいた。 避難所にあるラジオから、現在の大雨の状況が古田の耳に入ってきていた。 「代わりの宿は?」 「一応抑えれたんですが、この雨ですから。」 「タクシー呼ぼうか。自分の知っとるタクシー会社なら来てくれると思うよ。」 「あ、えぇ。いや、一応仕事の関係の人が迎えに来てくれるって事になりまして。なんでしばらくだけここに居ても良いですか。」 「しばらくって?」 「迎えに来るまで。」 「ラジオでも言っとるように浅野川の上流で氾濫危険水域やって言っとるし、すぐにここの辺りもそうなる。雨が弱まれば少しは安心なんやけど…。」 「スマホで雨雲レーダー見たら、あと20分ほどで雨脚は弱まるみたいですよ。」 「雨が弱まってもすぐに水が退くわけじゃないからね。危険には変わりないよ。用心に越したことはない。」 「確かに。」 それにしてもと古田はこの避難所にいる人間が少ないのではないかと指摘した。 これに対応の男は首を振る。 「この辺りは高齢者が多くて、まぁ動きが遅いンやわ。一応消防団とか町内の人間が声かけしとるんやけど、まぁゆっくりしとる。しゃあない。それにしても集まり悪いなぁ…。」 一応年に一度は災害対応の訓練を地域で行っている、その際はまぁまぁのできだった。しかしいざ本番となるとこうも動きが鈍いものか。彼は嘆息を漏らす。 「それはそれとして、ほらこの辺りって意外と外人さん多いでしょう。」 「あぁ観光の。」 「いや、それもそうなんですが、白人の男の人らあのアパートにたくさん滞在しとるんでしょ。」 古田は外を指さす。 「あんたよその人なんに、ようほんなこと知っとるね。」 ここに来たとき、近所の女性にいろいろ教えてもらったと古田は彼に説明した。 「一応呼びかけに行ったんやわ、消防団が。ほしたら分かったって言ってそのまんま。気にはなっとれんて…。」 しかし相手は外国人。外語を話せる人員はここには居ないと彼は言う。 「自分行ってきますか?」 「え?」 英語を話せるのかと尋ねられ、古田は話せないがなんとかなると言った。 「スマホですよスマホ。こいつ使えばなんとかなります。」 人は見かけによらない。相手によっては失礼に受け止められる言葉を彼は口にしハッとした。 古田は意に介さない様子でアパートの方面に向かった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あのアパートには管理人はいない。全部の部屋に外人が住んでいるから適当な部屋を当たれば良い。 そう聞いた古田は一階のある部屋のインターホンを押した。 雨音に インターホンの音 返事がない。 何度か同じ事を試みるも同じ反応だ。 留守なのかと思い、他の部屋を当たる。 インターホンの音 「ここも?」 再度インターホンの音 返事がない。 隣の
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3-183-3.mp3 ドローンが機動隊車両の上空に達したかと思うと、突如として激しい閃光が放たれた。次の瞬間、爆音とともにドローンが自爆し、その衝撃が車両に直撃する。 軽めの爆発音 爆発音は雷鳴のように周囲に轟き、もてなしドームを揺るがした。その音は商業ビルのガラスを震わせ、破片が空中を舞った。 吉川「伏せろっ!」 吉川がSAT隊員に大声で言った。 大きな爆発 車両の中に積まれていた火薬が誘爆した。炎が瞬く間に車両全体を包み込み、巨大な火の玉が金沢駅前を照らし出した。爆風は猛烈で、周囲の車両や建物に衝撃波が伝わり、商業ビルの窓ガラスが次々と割れて粉々に飛び散った。爆風は人...
Published 10/25/24
3-183-2.mp3 特殊作戦群「こちら特殊作戦群、これよりアルミヤプラボスディア掃討のため現場に介入する。SATは援護を頼む。」 無線の一報が入った瞬間、戦場のすべての勢力が息を呑んだように思えた。 自衛隊の特殊作戦群が戦闘に介入する。 それは、当該部隊が創設され初めてのことである。しかも現場は日本。 すべての当事者が、その異様な光景に困惑し、動きを止めた。 片倉「特殊作戦群やと…。」 公安特課テロ対策本部の片倉がこれ以上の言葉が出ないようだった。 相馬「特殊作戦群…。」 駅交番で児玉と共に待機する相馬も、この部隊名称を呼ぶのが精一杯だった。 森本「特殊作戦群だと…。」...
Published 10/25/24