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立憲自由クラブによる明日の 金沢駅での決起集会の予行演習。これを阻止せよ。そう椎名に指示を出して1時間ほど経過した。
現在は4月30日木曜。時刻は20時になろうとしていた。
「片倉班長。」
岡田が片倉の側にやってきた。彼はベネシュが乗ったと思われるハイエースの動きを捕捉するべく、相馬からの情報を元に所轄署との連携をとっていた。
「相馬の抑えたハイエースですが…。」
岡田の表情が成果を物語っていた。
「駄目やったか。」
「早々に乗り捨てられてました。」
敵も然る者。そう片倉は言った。
「こちらの動き、気づかれたか。」
「それは分かりません。車が乗り捨てられていたのは金沢駅から1キロ程度離れた病院の駐車場です。発進から間もない地点での移動手段の変更ですから、当初から予定されていたものかもしれません。」
「やるな…。」
で、相馬は今何をしてると片倉は聞いた。
「彼は古田さんと自衛隊の連中とで金沢駅のPBに居ます。」
「PBで何をしとる。」
「予想されるテロ行為への対応可能性を協議しています。」
「ほう…。」
「機動隊の協力が欲しいとの申し出でしたので、私から機動隊へ繋いでおきました。」
「しかし…県警だけやと無理じゃないか。」
「と言いますと?」
「想定されることから逆算して。県警の所帯だけじゃ役不足にならんか。」
「それは…。」
「まぁ心配すんな。そのあたりはいま松永課長が手を回しとる。」
「えっ?」
「広域の警察からの応援を要請、既に中国四国管区から出発したと連絡がはいっとる。明日の朝には石川に入れる。」
いつの間に。岡田は特高の秘匿性の高さと手際の良さを痛感した。
「警備部長には人員的なモンは心配すんなって言っておいてくれ。どんな警備体制も敷けるように察庁と警視庁が人的、設備的バックアップをしていますってな。」
「ありがたい。」
「岡田、お前はあくまでも公安特課や。お前が機動隊の調整に手を取られるとケントクが制御きかんくなってしまうやろ。本来の役割に専念してくれ。」
岡田は意味ありげな表情で笑った。
それはそれとしてと、片倉は言った。
「さっき百目鬼理事官から連絡が入った。自衛隊との連携の話や。」
椎名の情報をベースに考えればテロが予定されているのは明日の帰宅時間あたり。場所は金沢駅辺りだ。
それは自衛隊としても独自の情報網で共通の情報を把握していたようだ。
「基本路線は今までと変わらん。公安特課はテロ防止と関係者の一斉検挙。自衛隊はもしもの時に実力でねじ伏せる。今回、その詳細が詰められた。」
「と言いますと。」
「自衛隊は独自のタイミングで動く。あいつらが動いた時点で俺らはあいつらの指揮下にはいる。」
岡田は驚きを隠せないでいた。
「この運用は政府において決定された。」
「政府が?」
「ああ。いまさら国会がどうとか言ってられん。この運用をしくじると選挙どころか政府自体が吹っ飛ぶ。その事の重大さは流石に先生方もご理解いただけたようや。」
「とんでもないことになってきていますね。」
「あぁとんでもない。平和呆けのツケが一気にこの瞬間に回ってきたわ。」
岡田はにじみ出てきた汗を拭う。
「市民の安全確保などは自衛隊には出来ん。治安の維持は警察が請け負う。これはいままでと変わ