181.2 第170話【後編】
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3-170-2.mp3 「っくしょん!」 パソコンの前に座ったままで目を瞑り、軽く睡眠をとっていた椎名はくしゃみによって目を覚ました。 自分の体調について尋ねる声はない。椎名を監視しているはずの片倉や岡田といった連中も今は眠っているのかもしれなかった。 しかしこちらから向こうの様子は見えないので迂闊な言動は慎むべきだ。とりあえず椎名はSNSのタイムラインを流し読みすることにした。 ハッシュタグ立憲自由クラブでフィルタリングされたそこには、日章旗と旭日旗が入ったアイコンがよく見られる。その中で椎名は「日本大好き」という名前のアカウントが時々ポストしているのを発見した。 やるしなかない 戦うしかない 完全にもう俺らは米帝の植民地だ 出たとこ勝負でもいいじゃないか 全ては行動あるのみ 何か薄ぼんやりとした何かを鼓舞するポストだ。 椎名は即座にこのポストを縦読みする。 ーや た か で す 続けて日本大好きアカウントは以下のポストをした。 川岸からの合図で動くとしよう ー川岸…岸…。騎士…ナイトか。ナイトの合図で始まると言うことだな。 桃は未だ見ず ー桃…? 椎名は一瞬考えたが、すぐにそのポストの意味を把握した。 ー桃…ピンクか…。ピンク稼業はヤドルチェンコの表の姿。そうか、ヤドルチェンコの行方は矢高もまだ把握できていないか…。 ー上々だ。これは面白くなってきた。 「お、椎名起きてたか。」 タイムラインをぐりぐり下の方まで移動しながら椎名はこの声に応えた。 「すいません。すこし寝てました。」 「あぁ俺も今起きたところや。」 「久しぶりにカツ丼食ったら、急に眠くなってしまって…。」 「あぁ俺も。夜中にあんな脂っこいモン食ってもたれてしまうかと思ったら、しばらくして急に眠くなっちまってな。今起きたンやけど、案外すっきりしとる。」 「お若いですね。自分は少々もたれています。」 他愛もないやりとりをした。 「で、どうや。なにか動きはあったか。」 「いや。目立ったものはありません。」 「これからお前さん、どう出る。」 「まず朝戸を現地まで誘導します。」 「いつ、どうやって。」 「昼過ぎにいまの宿を出てもらって、駅近くのどこかの店で待機してもらいます。」 「どこにする。」 「お任せします。その店に誘導します。」 「わかったこちらで選定し、お前に指示する。」 片倉は合わせて空閑に関する対応についても、椎名に意見を求めた。 「空閑はこのまま放置します。頃合いを見て逮捕してください。」 「頃合いってなんや。」 「片倉さんのタイミングで結構です。」 「…。」 この間に椎名は反応した。 「いかがされましたか。」 「随分あっさりとしとるんやな。」 「駄目ですか。」 「…いや。」 「空閑逮捕に関する注意事項はないか。」 「彼は男前です。くれぐれもその誘惑に気をつけてください。」 「…。」 片倉は沈黙で応えた。 ー知ってるな。この様子。 「椎名。」 「はい。」 「サングラスはかけていった方が良いかね。」 「サングラス?え?なんで?」 「あぁサングラス。あれ?お前知らんがか。」 「え?なんですか?」 「鍋島やって鍋島。」 ーやはり分かっていた…。しかしどうしてサングラスをかけろって話なんだ。 「鍋島能力の発動はその目からくるもんやっての
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3-183-3.mp3 ドローンが機動隊車両の上空に達したかと思うと、突如として激しい閃光が放たれた。次の瞬間、爆音とともにドローンが自爆し、その衝撃が車両に直撃する。 軽めの爆発音 爆発音は雷鳴のように周囲に轟き、もてなしドームを揺るがした。その音は商業ビルのガラスを震わせ、破片が空中を舞った。 吉川「伏せろっ!」 吉川がSAT隊員に大声で言った。 大きな爆発 車両の中に積まれていた火薬が誘爆した。炎が瞬く間に車両全体を包み込み、巨大な火の玉が金沢駅前を照らし出した。爆風は猛烈で、周囲の車両や建物に衝撃波が伝わり、商業ビルの窓ガラスが次々と割れて粉々に飛び散った。爆風は人...
Published 10/25/24
3-183-2.mp3 特殊作戦群「こちら特殊作戦群、これよりアルミヤプラボスディア掃討のため現場に介入する。SATは援護を頼む。」 無線の一報が入った瞬間、戦場のすべての勢力が息を呑んだように思えた。 自衛隊の特殊作戦群が戦闘に介入する。 それは、当該部隊が創設され初めてのことである。しかも現場は日本。 すべての当事者が、その異様な光景に困惑し、動きを止めた。 片倉「特殊作戦群やと…。」 公安特課テロ対策本部の片倉がこれ以上の言葉が出ないようだった。 相馬「特殊作戦群…。」 駅交番で児玉と共に待機する相馬も、この部隊名称を呼ぶのが精一杯だった。 森本「特殊作戦群だと…。」...
Published 10/25/24