190.2 第179話【後編】
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3-179-2.mp3 金沢駅隣接の商業ビル。ここでは30分前から施設の緊急点検を行うということで、ビルに入居する店舗と来店客に一斉退去を求めていた。 山県久美子が店長を務める店舗も例外ではなく、アルバイトを先に帰宅させた彼女は売上金や釣り銭を手持ちの巾着袋にまとめて、それを抱えて業務用の階段で移動していた。 「久美子!」 人の流れに逆らうようにこちらに向かって来る者があった。 オーナーの森である。 彼女らは一旦人の流れから距離をとった。 「なんだかショップの方が騒がしいって聞いてきたら、なにこれ。」 「設備に不具合があったらしくて、緊急の点検のため全員退去しろって。」 「そんな馬鹿なことある?」 契約警備会社だけでは対応ができないのか。POLICEと書かれたジャケットを羽織る人員もその誘導にかり出されていることを森は久美子に指摘した。 「ひょっとしたら爆発物とか見つかったのかもしれないわよ。」 「確かに…警察まで出てるって普通じゃ考えられませんね。」 「正直なこというとパニックになっちゃうから。」 もしもそうだったらこんなところで油を売っている場合ではない。森は久美子の手を握って業務用階段を駆け下り出した。 そのときである。階下からぱんっという乾いた音に続いて悲鳴が聞こえた。 「なに…。」 ふたりは足を止めた。 階下からは人が撃たれたとの声が聞こえてきた。 「ちょっと…これ、何?一階の出口に銃を持った奴がいるって言うの?」 「…それだと、このビルから出れないですね…。」 今まで下へ下へと流れていたものが、逆流するように上に上がってきた。 「ちょっと!あんた!」 森は側に立っていた警察官らしき男の袖を掴んだ。 「何よ!何が起こってるの!?」 警察官は頭を振る。自分も状況を把握できていないとのことだ。 「何よ!役立たず!」 森はこう吐き捨てると久美子の手を取って最上階へと進路を変更した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「商業ビル班から本部。」 現場からの無線がテロ対策本部に入った。 「はい本部。」 「現在、商業ビル一階で発砲事件が発生。けが人が数名出ています。」 「なに!」 片倉と岡田は立ち上がった。 「犯人は!」 「避難誘導の人混みのため、対象特定できず。現場は混乱しています。」 「現場の安定と市民の安全確保と避難。引き続きこれを最優先に対応されたい。」 「しかし犯人が取り押さえられないと、現場の混乱を鎮めることができません。一階から再び最上階へ移動する人も出てきています。」 「そこをなんとかしろ。」 無茶な指示だと分かっている。分かっているが今こちらにできることはない。岡田は全てを現場に委ねた。 「それでいい。」 片倉が岡田をフォローするように言った。 「こちらがどうこう指示を出す状況ではない。」 ただし言って片倉は無線マイクに口を近づけた。 「本部から商業ビル班。」 「はい。商業ビル班。」 「現在こちらも対応方法を検討中だ。それまでは対応は全て現場に任せる。最良と思われる対応をとってくれ。責任はこちらが全てとる。都度の報告は無用だ。ただしどうにもならない状況になったら即座に報告をしてくれ。そのときはこちらで別の対応を図る。」 「了解。」 岡田は思いきっ
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3-183-3.mp3 ドローンが機動隊車両の上空に達したかと思うと、突如として激しい閃光が放たれた。次の瞬間、爆音とともにドローンが自爆し、その衝撃が車両に直撃する。 軽めの爆発音 爆発音は雷鳴のように周囲に轟き、もてなしドームを揺るがした。その音は商業ビルのガラスを震わせ、破片が空中を舞った。 吉川「伏せろっ!」 吉川がSAT隊員に大声で言った。 大きな爆発 車両の中に積まれていた火薬が誘爆した。炎が瞬く間に車両全体を包み込み、巨大な火の玉が金沢駅前を照らし出した。爆風は猛烈で、周囲の車両や建物に衝撃波が伝わり、商業ビルの窓ガラスが次々と割れて粉々に飛び散った。爆風は人...
Published 10/25/24
3-183-2.mp3 特殊作戦群「こちら特殊作戦群、これよりアルミヤプラボスディア掃討のため現場に介入する。SATは援護を頼む。」 無線の一報が入った瞬間、戦場のすべての勢力が息を呑んだように思えた。 自衛隊の特殊作戦群が戦闘に介入する。 それは、当該部隊が創設され初めてのことである。しかも現場は日本。 すべての当事者が、その異様な光景に困惑し、動きを止めた。 片倉「特殊作戦群やと…。」 公安特課テロ対策本部の片倉がこれ以上の言葉が出ないようだった。 相馬「特殊作戦群…。」 駅交番で児玉と共に待機する相馬も、この部隊名称を呼ぶのが精一杯だった。 森本「特殊作戦群だと…。」...
Published 10/25/24