“小生がこの世に生を受けたのは都心部に珍しく雪が降り積もった寒い冬の日。
旧帝大卒の両親はその日の事を話す時、いつも何処か幸せそうだ。
小生は旧帝大に入学した後、オックスフォードへ編入。
そこで、彼女と、出逢った。
彼女はまるで物語の中から出てきたようであった。
小生は彼女の望むものは全て買い与えた。全ての願いを叶えた。
しかし、一つだけどうしても手に入れる事ができない物があった。
小生はどうしたらそれを手に入れる事ができるのか、毎日思案した。様々な国を巡った。知りうる知識を全て使った。人脈を駆使し、プライドすら捨てた。
しかしどう足掻いてもそれは手に入れることが出来なかった。
疲れ果てた小生は彼女に、それを手に入れるのは無理だと伝えた。
その時、彼女が聴いていたのは5点ラジオ。
そう、ずっと探していたものだった。幸せは最初から手の中にあったのだ。”
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06/29/23