“ロンドンの空は小生の心模様を写したように暗く、さめざめと雨が滴っていた。
空港を出てタクシーに乗り込み、無愛想な運転手と陰鬱なドライブをしながら窓の外を眺める。
雨粒は真珠のように窓をつたって落ちていき、さながらロンドンの街並みを彩る宝石のようだ。
こんな景色を昔にも見た。それは小生の心の奥底にチェーンで固くロックされた、
二度と思い出すまいと葬り去った記憶。…おいおい、まだ忘れていなかったのか?
自分自身の執着に思わず嘲笑する。
「着いたよ」
じめっとした車内に運転手の声が響く。
ドアを開けると、そこにはあの日と変わらず、観光客やカップルが行き交う浮かれた光景があった。
やれやれと思いながらタクシーを降りる。ビッグベンはいつ見ても嘘くさい。
小生はイヤホンをつけた。
そう、あの日やり残した…叶えられなかった約束を果たすため…。
そんな時、大柄な白人男性にぶつかる。手元が狂い別のアプリを開いてしまった。
「いてて…ん?なんだこの番組…?」
ーー運命の歯車は再び動き出した。”
小ぶりな大納言小豆 via Apple Podcasts ·
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06/27/23