町田徹のふかぼり!(2024.4.19放送分)
Listen now
Description
2024年4月19日放送 今日の「町田徹のふかぼり」のテーマは 『西側諸国の間で大きく割れるAI規制の考え方。日本国民を保護するのに必要な事とは?』 岸田総理は、先週水曜日=4月10日に、アメリカのバイデン大統領とワシントンで日米首脳会談を行い、共同声明を発表しました。この共同声明の最大のポイントは、中国やロシアを念頭に、地域と世界の安定のために日米同盟をこれまで以上に強化するとしたことです。日本は防衛費のGDP比で2%に増やすことをコミットしましたし、日米は価値観を共有する地域のパートナーAUKUS加盟のオーストラリア、イギリス、あるいは、韓国などとの協力関係の強化を打ち出した点も注目だと言って良いと思います。総理は、We are with you、日本はアメリカと共にある、とアメリカ議会の演説でも言い切りました。ですが、日米首脳会談の前から、僕が気になっていたのは、ハイテク技術分野。特に「生成AI」の扱いでした。 日米共同声明の内容を紹介しますと、、、 「日米両政府は、他の志を同じくするパートナーと実施するものも含めた研究交流、民間投資及び資本調達を通じ、AIなど次世代の重要・新興技術の開発及び保護におけるグローバルなリーダーとしての共通の役割を強化する」 「日米両政府は、理化学研究所とアルゴンヌ国立研究所との間の『科学のためのAI』に関する協力を歓迎する」 「日米両政府は、エヌビディア社、アーム社、アマゾン社及びマイクロソフト社並びに日本の企業連合からの資金提供を通じ、ワシントン大学と筑波大学の間や、カーネギー・メロン大学と慶應義塾大学の間で、1億1000万ドルの新たなAI研究パートナーシップが成立したことを称賛する」 「我々は、広島AIプロセスを更に前進させ、両国のAIセーフティ・インスティテュート間の連携を強化することにコミットしている」 となっています。 生成AIっていうのは、未来を左右しかねない新しい技術ですから、価値観や志を共有しない国やヒトに負けないように頑張ること自体は、必要なことだと僕も思います。その部分に文句を付ける気はまったくありません。とはいえ、その一方で、この生成AIは、間違った使われ方や判断に使われて、危機的な戦争が始まりかねないとか、フェイク情報を流布されて民主主義の根幹である選挙が歪みかねないとか、知的所有権がないがしろになりかねないとか、個人情報の保護が危うい、といった問題がたくさん指摘されている技術でもあります。 そういう意味では、この日米共同声明はバランスを欠いています。中身を読むと、この分野で圧倒的な競争力を誇るアメリカは、その地位の維持を最優先しており、日本は国を挙げてそのサポートするという、危うい宣言だと受け取れないことも無い内容にとどまっているわけです。 これに対し、EUは、僕が心配しているようなことを念頭に置いた規制に踏み込む構え。日米両国とは対極の動きを見せています。 ハイテク分野の競争力の強化だけが大切なのか、それとも人間の保護も含めたバランスが求められているのか。リスナーの皆さんもぜひ、一緒に考えてみてください。 番組公式X!!(旧Twitter)「町田徹のふかぼり3兄弟」 @tetsu_fukabori3をフォローして、番組に関する情報をどんどんキャッチしましょう!
More Episodes
2024年5月3日放送 今日の「町田徹のふかぼり」のテーマは 成長性に注目!今、相次ぐ民間企業の宇宙ビジネスへの参入。背後には、アポロ計画時代と変わらない大国の覇権争いも。 宇宙ビジネスを展開する民間企業と言えば、アメリカのEV=電気自動車メーカーを率いるイーロン・マスク氏のスペースXがあまりにも有名ですが、日本でも三菱重工業とかIHI、SUBARUと言った老舗企業だけでなく、ベンチャー企業が続々とこの分野の持つ潜在成長力に惹き付けられて参入しています。その意味では、夢のある話ですよね。 夜空を見上げると大きく広がっている宇宙空間でのビジネスの話はどうでしょうか?科学技術の専門家として、...
Published 05/03/24
Published 05/03/24
2024年4月26日放送 今日の「町田徹のふかぼり」のテーマは 『同盟国の日本企業のアメリカ企業買収にダメを出した』バイデン政権の危うさとは? かつて、いずれも世界一だったことがある鉄鋼会社、日本製鉄によるアメリカのUSスチール買収が限りなく危うくなっており、先々週の金曜日(4月10日)、わずか2週間前に、岸田総理とバイデン大統領が日米首脳会談を行い、共同声明を公表して謳い上げた日米間の経済連携の脆さを早くも浮き彫りにした、というお話をしようと思います。日本製鉄のUSスチール買収を巡って何が起きているのか。買収契約の締結以来、およそ4カ月の動きと現状、そして、この状況が浮き彫りにした将来...
Published 04/26/24