「音楽は国境を越える」とはよく言われる一方、音楽は各地域や各民族に固有のものと考えられてもきた。だが実際は、世界のどこでも通用する音楽などないし、特定地域だけに固有の音楽などというものもない。普遍的な音楽、純粋な地域文化という幻想自体が、グローバル化の様々な力学の結果に他ならない。 グローバル化を西洋中心主義的悪弊と決め付けるのも一面的である。グローバル化の時代は、各地のローカル文化の新たな自己主張の時代でもある。このことは、文化とはそもそも何であるのかという根源的な問いに我々を誘っているようにも思える。
Published 05/19/07