Description
奥村雄樹くんと話す、その3
偶然に作品はできないけれども、作品のなかには偶然が入っている、ということがどうやら必要なことらしい。というのはぼくも奥村くんもわかっている。でもそれはなぜなんだろう。
その偶然というものを「ノイズ」ととらえ直してもいいかもしれない。
作品のなかに含まれるノイズ。筋道立てたすものごとを進みにくくさせるノイズ。
奥村くんは2006年の時点で、そのノイズを「ナラティヴ」といい、そこにぼくが当時、否定的に思っていたつぎのものを含めていた。政治的文脈、歴史的文脈、シンボリズム、メタファー、そして個人の物語(これはぼくが追加したものだけれども)。偶然、ノイズ、ナラティブはとりはらうべきものじゃなくて、それによって作品制作が豊かになることもある、それがそのころの結論だった。でも...。
田中「プロセスが複雑だとなかなか作品はできあがらない」
奥村「偶然とは、僕たちの恣意的な制御を超えたもの」