Episodes
【A024】政治と文学について
時間:45分
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1971年5月8日
主催:三田文学
場所:慶應義塾大学...
Published 08/15/15
【A147】新・書物の解体学
時間:136分(うち質疑応答16分)
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1992年11月24日
主催:前橋市・煥乎堂
場所:前橋テルサ 8F...
Published 08/15/15
【A024】政治と文学について
時間:45分
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1971年5月8日
主催:三田文学
場所:慶應義塾大学...
Published 08/15/15
【A147】新・書物の解体学
時間:136分(うち質疑応答16分)
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1992年11月24日
主催:前橋市・煥乎堂
場所:前橋テルサ 8F...
Published 08/15/15
【A015】実朝論
時間:299分
音質:5
ジャンル:文学
講演日:1969年6月5日/12日
主催:筑摩書房
場所:新宿・紀伊國屋ホール
収載書誌:中公文庫『語りの海2...
Published 08/15/15
【A155】中上健次私論
時間:60分
音質:3
ジャンル:文学
講演日時:1993年6月5日
主催:昭和文学会
場所:国学院大学常磐松2号館2階中講堂
収載書誌:未発表
音源について
昭和文学会の春季大会として
行なわれた講演。
当日は吉本隆明のほか
日高昭二氏らによる講演があった。
客席録音のためノイズが入るが
比較的クリアに収録されている。
講演より
〈都会に出た熊野人〉、
〈熊野という場所で育った熊野の子どもたち〉
というふたつの問題が、
中上さんの文学のふたつの足だと思います。
都会に出てきたアジア的田舎の人といえば、
ごくふつうになってしまいますが、
中上さんの作品のおもしろいところは、
都会に出てきたアジア以前の人、
つまりアフリカ的段階の人ということです。
それが中上さんの文学のひとつの特色です。
もうひとつの特色は、アフリカ的段階の自然、
つまり自然にまみれている自然人の子どもたちの特色を、
中上さんが非常によく描写していることです。
これが中上文学のふたつの足である、と思います。
この講演のテキストを読む
Published 08/15/15
【A064】文学の新しさ
時間:120分(うち質疑応答25分)
音質:5
ジャンル:文学
講演日時:1982年1月21日
主催:京都精華大学 学生部
場所:京都精華大学
収載書誌:未発表
音源について
京都精華大学大教室で行われた。
一般の人にも開放され、
他大学の学生の参加も多かった。
音源は主催者提供。
講演最後が欠けているため、
客席から録音したもので補っており、
この部分は聞き取りづらい。
質疑応答は冒頭と最後が欠けている。
講演より
現在の文学や芸術、芸能では、
実際の現実的な価値、物質的な価値に対して、
イメージの価値が大なり小なり付加されていて、
その全体を指してある価値様式を考えているというのが、
われわれがおかれている環境です。
このイメージの世界が大規模になると考えると、
誰にとっても管理されている時間帯は
増えていくだろうということが、
現在の「新しさ」の根底にある問題だと思います。
その問題をどう考えるかが、
現在の文学の根底にある問題だと思います。
この講演のテキストを読む
Published 08/15/15
【A015】実朝論
時間:299分
音質:5
ジャンル:文学
講演日:1969年6月5日/12日
主催:筑摩書房
場所:新宿・紀伊國屋ホール
収載書誌:中公文庫『語りの海2...
Published 08/15/15
【A155】中上健次私論
時間:60分
音質:3
ジャンル:文学
講演日時:1993年6月5日
主催:昭和文学会
場所:国学院大学常磐松2号館2階中講堂
収載書誌:未発表
音源について
昭和文学会の春季大会として
行なわれた講演。
当日は吉本隆明のほか
日高昭二氏らによる講演があった。
客席録音のためノイズが入るが
比較的クリアに収録されている。
講演より
〈都会に出た熊野人〉、
〈熊野という場所で育った熊野の子どもたち〉
というふたつの問題が、
中上さんの文学のふたつの足だと思います。
都会に出てきたアジア的田舎の人といえば、
ごくふつうになってしまいますが、
中上さんの作品のおもしろいところは、
都会に出てきたアジア以前の人、
つまりアフリカ的段階の人ということです。
それが中上さんの文学のひとつの特色です。
もうひとつの特色は、アフリカ的段階の自然、
つまり自然にまみれている自然人の子どもたちの特色を、
中上さんが非常によく描写していることです。
これが中上文学のふたつの足である、と思います。
この講演のテキストを読む
Published 08/15/15
【A064】文学の新しさ
時間:120分(うち質疑応答25分)
音質:5
ジャンル:文学
講演日時:1982年1月21日
主催:京都精華大学 学生部
場所:京都精華大学
収載書誌:未発表
音源について
京都精華大学大教室で行われた。
一般の人にも開放され、
他大学の学生の参加も多かった。
音源は主催者提供。
講演最後が欠けているため、
客席から録音したもので補っており、
この部分は聞き取りづらい。
質疑応答は冒頭と最後が欠けている。
講演より
現在の文学や芸術、芸能では、
実際の現実的な価値、物質的な価値に対して、
イメージの価値が大なり小なり付加されていて、
その全体を指してある価値様式を考えているというのが、
われわれがおかれている環境です。
このイメージの世界が大規模になると考えると、
誰にとっても管理されている時間帯は
増えていくだろうということが、
現在の「新しさ」の根底にある問題だと思います。
その問題をどう考えるかが、
現在の文学の根底にある問題だと思います。
この講演のテキストを読む
Published 08/15/15
【A142】現代文学のゆくえ
時間:88分
音質:3
ジャンル:文学
講演日時:1992年10月5日
主催:東急文化村/ドゥマゴ文学賞事務局
場所:渋谷・シアターコクーン
収載書誌:未発表
音源について
吉本隆明が選者をつとめた
「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」
の記念講演。
この年受賞作に選んだのは
三田英彬氏による
『芸術とは無慚なもの―
評伝・鶴岡政男』
で、吉本の講演の後には
三田氏による講演があった。
音源は主催者提供。
講演より
現在、高度な先進的社会で流行っている
イメージのつくり方が文学のなかにあります。
「自分の姿が自分で客観的に見えてしまって、
やっている行為自体がぜんぶしらけてしまう」
という描かれ方です。この問題は、引き延ばしてみると
現在の先進的な社会が当面している問題の大きな部分と
共通のところを占めていると思います。
先進的な社会のひとつである日本でアンケートをとると、
89%の人は「自分は中流の生活をしている」という
結果が出てきます。
これはある意味で不気味な数字だし、
たいへんなものだと思います。
世界の先進的な社会で、9割9分の人が...
Published 08/15/15
【A142】現代文学のゆくえ
時間:88分
音質:3
ジャンル:文学
講演日時:1992年10月5日
主催:東急文化村/ドゥマゴ文学賞事務局
場所:渋谷・シアターコクーン
収載書誌:未発表
音源について
吉本隆明が選者をつとめた
「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」
の記念講演。
この年受賞作に選んだのは
三田英彬氏による
『芸術とは無慚なもの―
評伝・鶴岡政男』
で、吉本の講演の後には
三田氏による講演があった。
音源は主催者提供。
講演より
現在、高度な先進的社会で流行っている
イメージのつくり方が文学のなかにあります。
「自分の姿が自分で客観的に見えてしまって、
やっている行為自体がぜんぶしらけてしまう」
という描かれ方です。この問題は、引き延ばしてみると
現在の先進的な社会が当面している問題の大きな部分と
共通のところを占めていると思います。
先進的な社会のひとつである日本でアンケートをとると、
89%の人は「自分は中流の生活をしている」という
結果が出てきます。
これはある意味で不気味な数字だし、
たいへんなものだと思います。
世界の先進的な社会で、9割9分の人が...
Published 08/15/15
【A039】枕詞の空間
時間:114分
音質:4
ジャンル:文学
講演日時:1977年7月6日
主催:詩誌「無限」事業部
場所:明治神宮外苑絵画館文化教室
収載書誌:中公文庫『語りの海3 新版・言葉という思想』(1995年)
音源について
詩誌「無限」を発行していた
株式会社無限主催
「無限アカデミー・現代詩講座」
での講演。
ライン録音されたものではないが
クリアに収録されている。
講演より
宮沢賢治に「林と思想」という詩があります。
この詩の根源的情緒は、昔の人のいい方でいえば、
霧をいう場合に「ほのゆける霧」、あるいは
「いさらなみ霧」と表現されたものだと思います。
大昔においては、現在では意味がつかめない言葉を、
枕詞として上につける習慣が詩に限ってあったのです。
この「いさらなみ霧」の情緒と、
宮沢賢治の詩の情緒というのはまったく同じです。
ただ古代人たちが自明の理として考えた
眼に見えないポエジーの空間──ふたつの言葉を
並べることによってそのあいだに
想定したポエジーの空間──だけを再現し、
再現の結果としての「ほのゆける霧」あるいは
「いさらなみ霧」という表...
Published 08/15/15
【A069】共同幻想とジェンダー
時間:163分
音質:★★
ジャンル:思想
講演日時:1983年2月12日
主催:フォーラム・人類の希望/新評論
場所:四谷公会堂
収載書誌:弓立社『超西欧的まで』(1987年)
音源について
「いま、性と労働を問う」
のシンポジウムでの講演。
山本哲士氏の講演を受けはじまる。
講演後には吉本隆明、
山本哲士氏、河野信子氏による
パネルディスカッションを収録。
テープチェンジのため音が欠ける。
音質はあまりよくない。
講演より
19世紀以降、資本主義社会の興隆期に入ってから、
なぜ男女の特性が生産労働過程で無視できると
考えられたのでしょうか。
マルクスの考え方は、労働時間の問題が重要なので、
どういう生産物をつくったか、
どういう質の労働を加えたかという差異は、
あったとしても大したことではないというものです。
イリイチの考え方からいうと、
こんな状態を許しておいたからこそ、
男女の賃金格差は拡がり、
女性は影の仕事に追い込まれるという事態が
生じてしまったことになります。
資本主義の一種の停滞成長期である現在、
どうして改めて生産労働過...
Published 08/15/15
【A039】枕詞の空間
時間:114分
音質:4
ジャンル:文学
講演日時:1977年7月6日
主催:詩誌「無限」事業部
場所:明治神宮外苑絵画館文化教室
収載書誌:中公文庫『語りの海3 新版・言葉という思想』(1995年)
音源について
詩誌「無限」を発行していた
株式会社無限主催
「無限アカデミー・現代詩講座」
での講演。
ライン録音されたものではないが
クリアに収録されている。
講演より
宮沢賢治に「林と思想」という詩があります。
この詩の根源的情緒は、昔の人のいい方でいえば、
霧をいう場合に「ほのゆける霧」、あるいは
「いさらなみ霧」と表現されたものだと思います。
大昔においては、現在では意味がつかめない言葉を、
枕詞として上につける習慣が詩に限ってあったのです。
この「いさらなみ霧」の情緒と、
宮沢賢治の詩の情緒というのはまったく同じです。
ただ古代人たちが自明の理として考えた
眼に見えないポエジーの空間──ふたつの言葉を
並べることによってそのあいだに
想定したポエジーの空間──だけを再現し、
再現の結果としての「ほのゆける霧」あるいは
「いさらなみ霧」という表...
Published 08/15/15
【A069】共同幻想とジェンダー
時間:163分
音質:★★
ジャンル:思想
講演日時:1983年2月12日
主催:フォーラム・人類の希望/新評論
場所:四谷公会堂
収載書誌:弓立社『超西欧的まで』(1987年)
音源について
「いま、性と労働を問う」
のシンポジウムでの講演。
山本哲士氏の講演を受けはじまる。
講演後には吉本隆明、
山本哲士氏、河野信子氏による
パネルディスカッションを収録。
テープチェンジのため音が欠ける。
音質はあまりよくない。
講演より
19世紀以降、資本主義社会の興隆期に入ってから、
なぜ男女の特性が生産労働過程で無視できると
考えられたのでしょうか。
マルクスの考え方は、労働時間の問題が重要なので、
どういう生産物をつくったか、
どういう質の労働を加えたかという差異は、
あったとしても大したことではないというものです。
イリイチの考え方からいうと、
こんな状態を許しておいたからこそ、
男女の賃金格差は拡がり、
女性は影の仕事に追い込まれるという事態が
生じてしまったことになります。
資本主義の一種の停滞成長期である現在、
どうして改めて生産労働過...
Published 08/15/15
【A068】〈若い現代詩〉について
時間:130分
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1982年12月8日
主催:詩誌「無限」事業部
場所:明治神宮外苑絵画館文化教室
収載書誌:未発表
音源について
詩誌「無限」を発行していた
株式会社無限が主催。
本講演の3か月ほど前に行われた
講演「若い現代詩」を
引き継ぐものとなっている。
録音者の手元でのノイズが入る。
講演より
街頭で瞬間的に飛び交っていく言葉には、
話し言葉という意味あいと、もうひとつ
「発声状態の言葉」という意味あいがあるような
気がします。
取り交わされた瞬間にとらえられた
「発声状態の言葉」という意味あいで、
街頭で飛び交う言葉を瞬間的にとらえることができれば、
それはそうとうラディカルな言葉になるのではないかと
思います。
このラディカルな状態の言葉をとらえるということは、
現在の詩が当面している
とても大きな問題のように思えます。
そのことは、街頭で取り交わされている言葉を、
高度な詩にまで適用できる通路ができてきたということの
証拠なのではないかという気がします。
この講演のテキストを読む
Published 08/15/15
【A165】顔の文学
時間:117分
音質:3
講演日時:1994年11月24日
主催:本郷青色申告会
場所:本郷青色申告会館
収載書誌:未発表
音源について
音源は主催者から提供。
講演冒頭が欠けており、
客席録音だが比較的クリア。
講演より
人間の声というのは、
音で識別する顔の表情だということができます。
本当の顔の表情は目で見て識別するわけですけれど、
人間の声というのもやはりひとつの顔の表情なのです。
その場合の顔というのは比喩ですが、
声というのは音で識別する顔の表情だと
いうこともできるわけです。
顔という言葉をそういう使い方をすると、
もっと極端な使い方ができます。
たとえば「おれの顔を立ててくれ」というでしょう。
文学と関係が深いのは、主として比喩としての顔、
あるいは顔の表情です。
日本の古典文学というのは、
「もののあはれ」を主題にした物語か、
そうでなければ「顔を立てる」物語かの
ふたつに大別することができます。
いかに顔を立てるか、立てないかという問題、
つまり「顔の文学」というものは、
「もののあはれ」の文学と同じように民族の深層、
無意識の奥深...
Published 08/15/15
【A068】〈若い現代詩〉について
時間:130分
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1982年12月8日
主催:詩誌「無限」事業部
場所:明治神宮外苑絵画館文化教室
収載書誌:未発表
音源について
詩誌「無限」を発行していた
株式会社無限が主催。
本講演の3か月ほど前に行われた
講演「若い現代詩」を
引き継ぐものとなっている。
録音者の手元でのノイズが入る。
講演より
街頭で瞬間的に飛び交っていく言葉には、
話し言葉という意味あいと、もうひとつ
「発声状態の言葉」という意味あいがあるような
気がします。
取り交わされた瞬間にとらえられた
「発声状態の言葉」という意味あいで、
街頭で飛び交う言葉を瞬間的にとらえることができれば、
それはそうとうラディカルな言葉になるのではないかと
思います。
このラディカルな状態の言葉をとらえるということは、
現在の詩が当面している
とても大きな問題のように思えます。
そのことは、街頭で取り交わされている言葉を、
高度な詩にまで適用できる通路ができてきたということの
証拠なのではないかという気がします。
この講演のテキストを読む
Published 08/15/15
【A165】顔の文学
時間:117分
音質:3
講演日時:1994年11月24日
主催:本郷青色申告会
場所:本郷青色申告会館
収載書誌:未発表
音源について
音源は主催者から提供。
講演冒頭が欠けており、
客席録音だが比較的クリア。
講演より
人間の声というのは、
音で識別する顔の表情だということができます。
本当の顔の表情は目で見て識別するわけですけれど、
人間の声というのもやはりひとつの顔の表情なのです。
その場合の顔というのは比喩ですが、
声というのは音で識別する顔の表情だと
いうこともできるわけです。
顔という言葉をそういう使い方をすると、
もっと極端な使い方ができます。
たとえば「おれの顔を立ててくれ」というでしょう。
文学と関係が深いのは、主として比喩としての顔、
あるいは顔の表情です。
日本の古典文学というのは、
「もののあはれ」を主題にした物語か、
そうでなければ「顔を立てる」物語かの
ふたつに大別することができます。
いかに顔を立てるか、立てないかという問題、
つまり「顔の文学」というものは、
「もののあはれ」の文学と同じように民族の深層、
無意識の奥深...
Published 08/15/15
【A037】情況の根源から
時間:88分
音質:5
ジャンル:情況
講演日時:1976年6月18日
主催:三上治
場所:品川公会堂
収載書誌:三上治「乾坤」創刊号(1976年)
音源について
三上治氏が主催した集会での講演。
クリアに収録されているが
テープ欠落のため途中まで収録。
講演より
私たちが当面している情況を考えてみますと、
ひとりの人間としても、職場の組織のなかにおいても、
政治運動のなかにおいても、
当事者にとっては重要で切実な事柄が、
当事者以外の者にとっては切実でもないし
何でもないと思えるという分裂が
とても極端だということが、あげられると思います。
この問題は夫婦的な規模で申し上げることも、
国家的な規模で申しあげることもできます。
なぜこういう問題に当面しているのかというと、
古典的な政治・国家像、社会像が崩壊しつつあることが
考えられます。経済的・社会的権力が国家的に組織され、
政治的国家権力自体に対しても、大衆に対しても、
大きな力を及ぼすように変貌しつつあるということは
情況的でもあり、かつ本質的な問題ではないかと
僕には思われます。
...
Published 08/15/15
【A173】文学の戦後と現在──三島由紀夫から村上春樹、村上龍まで
時間:198分
音質:5
ジャンル:文学
講演日:1995年7月24日
主催:日本近代文学館 後援・読売新聞社
場所:有楽町・よみうりホール
収載書誌:朝日出版社『埴谷雄高・吉本隆明の世界』(1996年)
音源について
恒例で参加していた
「近代文学館・夏の文学教室」
での講演。この年のテーマは
「戦後50年の文学」。客席は満席。
音源は主催者提供。聞き取りやすい。
講演より
文学作品はいつもある時代の作品です。
『源氏物語』は別な面から見ると
ものすごいジャーナリズム小説なんです。
当時の誰それが失恋して失踪したとか、
そういう風俗的な事件がとてもよく入っているんです。
いま読むとその面が沈んで
僕らもよくわからなくなっているけど、
よくよく見れば当時あった人が騒いだ事件は
ことごとく作品のなかにおさめられています。
そのように、ある作品が長生きするかどうかということは
偶然性にもよりますが、いずれにせよ時代の風俗性と、
永続性みたいなものが両方ないと、
長生きはしないということがいえそうな気がします。
Published 08/15/15
【A067】個の想像力と世界への架橋
時間:83分
音質:2
ジャンル:文学
講演日時:1982年11月13日
主催:現代短歌シンポジウム実行委員会
場所:千代田区一ツ橋・一橋講堂
収載書誌:雁書館『'82現代短歌シンポジウムin東京・全記録』(1983年)
音源について
「'82現代短歌シンポジウムin東京」
として2日間にわたり開催された
シンポジウム幕開けの講演。
冒頭、佐々木幸綱氏による
開会の挨拶が収録されている。
録音者の手元ノイズが入っている。
講演より
高橋源一郎さんの『さようなら、ギャングたち』という
作品が問題にしていることは、
現在の詩歌が当面している問題そのものであるといえます。
この作品では、ラディカルな詩の概念というものが、
伝統的な言葉の様式からは出てこないで、
何もかもむなしくされてしまい、
現在の原初的な刺激を
無意識の底から受け入れたときに生まれる言葉から
出てくるかもしれないという考え方が
成り立っているのです。
現在、詩的な表出のすべてが
直面している物語性の解体というところで、
短歌の領域でも同じような問題が
本格的に出てきているん...
Published 08/15/15
【A029】親鸞について
時間:97分
音質:2
ジャンル:宗教
講演日時:1972年11月12日
主催:大谷大学 学園祭実行委員会
場所:大谷大学
収載書誌:春秋社『〈信〉の構造 PART1』(2004年)
音源について
冒頭部分が欠けており、
前半はテープノイズがひどく、
たいへん聞き取りづらい。
質疑応答は、途中
二度欠落している個所がある。
講演より
親鸞は、「絶対他力」の思想を根底におく、
日本ではたいへん珍しいタイプの思想家だと思います。
僕は、家が浄土真宗だということを除いては、
宗教もイデオロギーも信じていないし、
「自立」ということばかりいうまことに不肖の者ですが、
若いときから親鸞は好きで、
まったく反対なことをいっているとは
ちっとも感じられないところがあります。
それはおそらく、親鸞の自己解体の過程が、
「絶対他力が同時に絶対自力というものを包括する」
というところを指し示しているからではないかと
考えられるんです。
Published 08/15/15
【A037】情況の根源から
時間:88分
音質:5
ジャンル:情況
講演日時:1976年6月18日
主催:三上治
場所:品川公会堂
収載書誌:三上治「乾坤」創刊号(1976年)
音源について
三上治氏が主催した集会での講演。
クリアに収録されているが
テープ欠落のため途中まで収録。
講演より
私たちが当面している情況を考えてみますと、
ひとりの人間としても、職場の組織のなかにおいても、
政治運動のなかにおいても、
当事者にとっては重要で切実な事柄が、
当事者以外の者にとっては切実でもないし
何でもないと思えるという分裂が
とても極端だということが、あげられると思います。
この問題は夫婦的な規模で申し上げることも、
国家的な規模で申しあげることもできます。
なぜこういう問題に当面しているのかというと、
古典的な政治・国家像、社会像が崩壊しつつあることが
考えられます。経済的・社会的権力が国家的に組織され、
政治的国家権力自体に対しても、大衆に対しても、
大きな力を及ぼすように変貌しつつあるということは
情況的でもあり、かつ本質的な問題ではないかと
僕には思われます。
...
Published 08/15/15