自己言及的存在論講義
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長く間が空いてしまいましたが、自己言及的存在論(SRO)の講義を再開します。今回は第九回目ですが、ここから本論に入ります。本論は第一部と第二部に分けられることになると思います。第一部は、いまのところ四、五回を予定しています。今回のテーマは、パラドクスと脱パラドクスです。これまで解決不可能としていわば先送りしてきた問いに面と向き合い、その解決(脱パラドクス化)に挑みます。 塚原誠司 1944年東京生まれ。1967年、早稲田大学文学部西洋哲学科卒業。労働運動系広報誌の編集者、塾講師、警備員などをやりながら哲学を探求してきた。
Published 07/21/20
今回はこれまでの講義を振り返り、今の時点で見ることのできる展望を示しています。序論的な部分の締めくくりになります。分量的にはいつもの半分ほどです。ただこれまでの講義では触れなかった重要な要素の告白が行われ、また外部的実存のもつ目的が、ユングに学びつつ提示されています。次回からは本論に入ります。そこではいよいよ時間的パラドクスの解決に向けての最初の一歩が踏み出されます。 塚原誠司 1944年東京生まれ。1967年、早稲田大学文学部西洋哲学科卒業。労働運動系広報誌の編集者、塾講師、警備員などをやりながら哲学を探求してきた。
Published 01/10/20
今回は、私の哲学探究における最大の転換についてお話しします。その転換とは、私自身が背負っていたパラドクスを、テキストのパラドクスへと外在化させた、ということです。この転換が、パラドクスの解決への途を開きました。また、自己言及性という概念が、この転換を可能にしてくれました。この用語には、八〇年代の柄谷行人のテキストを通じて出会いました。「嘘つきのパラドクス」と呼ばれているものです。これに、自分の課題に適合するよう手を加えることで、自己言及的存在論の構想が生まれます。自己言及的存在論は、自分自身を根拠づける存在論です。それゆえ、この転換はさらに、ハイデガー『存在と時間』の源泉へと私を連れ戻し...
Published 11/23/19