今回は、私の哲学探究における最大の転換についてお話しします。その転換とは、私自身が背負っていたパラドクスを、テキストのパラドクスへと外在化させた、ということです。この転換が、パラドクスの解決への途を開きました。また、自己言及性という概念が、この転換を可能にしてくれました。この用語には、八〇年代の柄谷行人のテキストを通じて出会いました。「嘘つきのパラドクス」と呼ばれているものです。これに、自分の課題に適合するよう手を加えることで、自己言及的存在論の構想が生まれます。自己言及的存在論は、自分自身を根拠づける存在論です。それゆえ、この転換はさらに、ハイデガー『存在と時間』の源泉へと私を連れ戻し...
Published 11/23/19