気候ポッド 第23回 ~ ネットゼロが救うのは、気候でも弱者でもなく化石燃料と資本主義
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Climate Pod_Episode_023_Net Zero.mp3 今回のトピックは、気候危機対策に欠かせないまやかしのコンセプト『ネットゼロ(実質ゼロ or 正味ゼロ)』です。 『ネットゼロ』ってなに? ネットゼロを式で表すと、『ネットゼロ=大気中に加わる炭素-大気中から除かれる炭素』です。簡単ですね(でもあんまりメタンや代替フロンは話題にならない)。発電や交通、製造などで排出される温炭素から、海や土壌、植物などに吸収される炭素を引いたときに、プラマイゼロになればネットゼロです。 でも、パリ協定の努力目標になってる1.5℃以下を達成するにはそれじゃ絶対にゼロにできないので、自然だけじゃなく不自然な力(炭素回収・貯留技術)まで使ってゼロにしちゃおうというのが今のコンセプト。 これだけ見るとできそうじゃない?でも悲しいかな、1.5℃以下達成に絶対必要な炭素回収・貯留技術は、今のところまだありません。うひょ。 なんのために気候サミットで目標を再設定したの? アメリカの呼びかけでアースデイに開催された気候リーダーサミットは、アメリカが帰ってきて世界をリードするとアピールし、今秋に開催される予定のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に向けてモメンタムをつくるためのパフォーマンスです。それ以外の意味はまったくありません。 ネットゼロは、化石燃料と資本主義を少しでも長く続けるためのいんちきワード。延命装置と言っていいでしょう。でも、いつまでもだまされている間に、炭素回収・貯留技術が大規模に実施できるようになったりすると、化石燃料をガンガン燃やしながら炭素を全部回収して、公害物質を出しまくって年間に数百万もの弱者が大気汚染で亡くなりながら「これがお望みのネットゼロですよ」って言われることになりかねません。 ところで、参加各国が持ち寄ったアツい「野心的な新目標」ですが、あまりにもアツすぎて、目標を達成したら2.4℃も気温が上がっちゃいますよ。ぐへ。 そのときグレタは… これまで主要な気候会議や世界経済フォーラムなどに参加して積極的に発言を行なってきた、ひとりぼっちではじめた気候ストライキを世界的なムーブメントにした、Fridays for Future設立者のグレタ・トゥンベリさんは、今回の気候リーダーサミットには参加せず(というか興味を示さず)に、同日に行なわれた米連邦下院の委員会で「化石燃料への税控除をやめろ」と発言していました。 Why?グレタ、Why?と感じるかもしれませんが、彼女はサミットの1カ月近く前の4月1日に「もういつまでにとかどれくらいという数字にこだわるのをやめて、今すぐに排出量を減らさなきゃって認識を持たないとダメです。2030年とか2040年の話はいくらでもできるけど、今なにをやるかが問題なんです」というメッセージを発信しました。 彼女は、気候サミットにも、各国が掲げるであろう新目標にも関心がありませんでした。その証拠に、彼女は気候サミットについても、各国の目標についても、一度もツイートしていません。ガン無視です。だって、元々の削減目標自体がパリ協定の1.5℃も2℃も満たさないもので、2030年の削減目標も、2050年のネットゼロも、具体策がなにもない絵に描いた餅だったんですから
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Published 12/04/22
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