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画力を向上させるための日々の練習に励んでいる人は多くいますが、気になるのが「回数」や「時間」ありきでの取り組みとなっていて、「満足いくまで仕上げる」ことを優先していないのではないかという点。
習慣化を信仰するあまり、ゴールに辿り着くことを放棄していては、「できた!」という感覚を自分で掴むことができません。たしかに最初は時間がかかるかもしれませんが、まずはできるまでやってみる。そして、できるようになるまでの時間を減らすことを目指す。それが正しい順番ではないでしょうか。
筋トレなどのように習慣化そのものを目的とするのではなく、上手くできたという感覚を体に染み込ませることが、反復練習の本来の目的のはず。逆に、上手くできていない感覚をいくら繰り返しても、その技術を身につけることはできません。
もし画力向上のためのトレーニングの成果に頭打ちを感じている方がいたら、ぜひこの機会に見直してみましょう!
なお、現在コルクスタジオで取り組んでいる画力向上のための課題は以下の6つになりますので、参考にどうぞ。
1)線の強弱
2)ペンの抜き
3)ペンの入り
4)円(綺麗な曲線を描き、つなげる...
Published 11/20/24
他の人から見れば、「そんなことで悩まなくても」「もっと気軽に考えたら?」と言われそうなことでも、本人的にはどうすればいいかわからないダメ出し・やり直し依頼は数多くあると思います。
編集者から否定(ダメ出し・やり直し依頼)を繰り返されてしまうと、自分の中でどんどん迷いが生じてしまい、余計わからなくなってしまう事態に。そんなときに意識したいのが「ユーモア」の気持ちなんですが、それも余裕があってこそのもの。否定されることを恐れている状態では、自信も持てません。
そんなときにおすすめの方法は、ひとまず案をたくさん出すこと。本来必要なのは作者である自身の言葉なのに、正解探しのモードになってしまっているようなら、とりあえずたくさん出してみましょう。
心構えとしておすすめなのは、自己肯定まではしなくていいので、自己受容をすること。できてない部分はできてない部分として認め、そんな自分をまずは受け入れてみることが大切です。
いずれにしても、自分を否定してしまっているような状態では、読者に向かって投げかけられる言葉も生まれません。自分を否定せず、余裕を取り戻せるような行動・心構えを意識してい...
Published 11/18/24
作品内におけるキャラクターや世界観、関係性などを重視する漫画家ほど、そこに「自分」という存在が介在することを良しとしない部分があります。
描いているのはもちろん自分ですが、その世界が在ること自体に喜びや嬉しさを感じている以上、実は作者である自分こそが「一番その世界から消したい存在」と言えるのかもしれません。
では作者=自分とは一体何か、という問題が生じるわけですが、強いて言えば「観測者」という位置付けでしょうか。作者でありながら、目線が入ってしまうと作品世界の純度が下がってしまうため、不在であることを必要とされる不思議な存在。作品自体、本人の意思が介在しないまま自動で筆が走る、いわゆる「神の手」の状態になることが、漫画家としての理想と言えるのかもしれません。
これまで「作品を届けたい相手が明確に存在しているタイプ」と「作品を届けたい相手が自分というタイプ」の2種類に漫画家は分けられるという話を繰り返してきた本ラジオですが、「届けたい誰かが明確に存在しているわけではないし、自分に届けたいわけでもない」という疑問を抱いた人もいたのではないでしょうか。
今回はあらためて「作品づ...
Published 11/15/24
好きの反対は、嫌いではなく無関心。昔からよく言われる言葉ですが、SNSや漫画サイトのコメント欄に書き込まれる「ふーん」や「だから何?」といった感想は、果たして“嫌い”なのか“無関心”なのか。
もしかしたらその何れでもなく、“羨ましい”の気持ちの表れなのかもしれません。その意味では、あなたの投稿した漫画は、読んだ人の感情を動かしていると言えます。
一方で、作品を読んだ相手は「わざわざ書き込む」というアクションを取らざるを得ないほど感情がネガディブに動いていながら、「ふーん」という最上級に薄い反応をしていると見ることもできます。
そう考えると、「ふーん」という書き込みは、「一番言わせてはいけない悪口」なのかもしれません。今から作品を読んで作者の悪口を言うぞ!と構えていた相手が、特に具体的な悪口を思いつかなかった場合に、一応で書いた悪口。その点では「無関心」に限りなく近いといえるでしょう。
作品づくりにおいて、読者のネガティブな意見を気にする必要は、もちろんありません!...
Published 11/13/24
ストーリーが上手くまとまらないと感じてしまうような場合、無意識に「漫画は、主人公が成長する物語でないとダメだ!」という想いに捉われ過ぎてしまっているのかもしれません。
描き手はもちろん編集者にも多い「成長ストーリー」至上主義ですが、キャラの魅力や関係性などを中心に描きたい場合は、成長することでそれが失われてしまう可能性もあります。
主人公が何かを得るまでを描きたいなら成長物語が最適ですが、最初から主人公が至高・ただただやりたいことをやり切るだけの物語だってたくさん存在するわけです。
ストーリーで無理にロジックを組みすぎることなく、自分自身が最高にワクワクするような作品を、ぜひ描き切ってもらいたい・・・! ということを、皆さんにあらためてお伝えしたい回になっています。
Published 11/11/24
「いきなりやってくる人は、いきなり去っていく」。SNSなどで偶然に近い形で作品を読まれる機会が増えた現代においては、漫画家も心に刻んでおきたいユーザーとの向き合い方・心構えかもしれません。
他者の声を聞く機会が増え続けるからこそ、自己評価の高さ・低さ、自己愛の強さ・弱さなどがメンタル面はもちろん成長面で大きな影響を及ぼすことになりますが、
・自己愛は強いが、人の意見を聞く
・自己肯定感は低いが、前向き・前進する力がる
のどちらかであれば、きっと上手くいくのではないでしょうか。
このほか、「描くことを習慣化するための意外な方法」など、今回はXでたまたま見かけた漫画家の皆さんのためになりそうな投稿をただただ紹介し、考えていく回となっています!
▼今回紹介させていただいた書籍
『20代で得た知見』(著者・F/KADOKAWA)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322002000317/
ーー引用ーー
地下アイドルグループを結成して三年目の男の子が知人にいます。彼らは週に何度も何度もステージに立つ。熱狂的なファンがまぎれもなく彼らを生かし...
Published 11/08/24
漫画の賞に応募する場合、提出シートにはいろいろ書かなければいけない欄がありますが、「描きたかったテーマは?」「この作品のコンセプトは?」など、改めて問われると思わず悩んでしまうような質問項目も。
一般的にはテーマとは「伝えたいこと」、コンセプトとは「作品の中核となるアイデアや着想」などになりますが、問いに答えようと悩みすぎるのも勿体ないことに……。
そもそも漫画賞は作品を評価するためのコンペですので、テーマもコンセプトも、ざっくりと「どんなことやりたかったのか?」で大丈夫だと思います。
作者であるあなた自身の心の叫びのようなものを書き込み、あとは作品で勝負! 応募はそれで十分ですので、逆にテーマやコンセプトについて、作品構想時にあえてしっかりと考えてみる、みたいな取り組み方もいいかもしれません。
そんな意識してるようでしてない「この作品を説明するなら?」的問題について今回は考えてみました!
Published 11/06/24
漫画制作はよく「完璧を目指すより、完成させることが大切」と言われますが、作品に対する自分自身のやる気や熱意だって大切です。完璧と完成、成果につながるのは一体どちらなのか……?
最終的な正解はやはり本人次第となってしまいますが、ネームまで完成させながらペン入れが完了しないのは、自分の中でもどこか微妙に思っているところがあるからではないでしょうか。
最後まで完成させることで学べることも多い一方、微妙に思っているからこそ制作が進まない状況になってしまっているのであれば、次へ次へと進むほうが、結果として「量」の担保につながるはず……!
そんなわけで、漫画制作において、特にまだ練習中・下積み中という人ほど、「量」を確保するためにあえて「完成」に執着しなくてもいいのでは?という説を本ラジオでは提唱します。
しかし、これには異論・反論が当然あると思いますので、「そんなことないのでは?」という皆さま、ぜひご意見をお願いします!
Published 11/04/24
「世界のどこかにある何かを集めるために、仲間と一緒に旅に出るストーリー」は、アクションやファンタジーの王道であり、誰もが一度は考えたことがある設定ではないでょうか。
ただ意外に難しいのが、何を集めるのかという問題。バラバラのジャンルのものを集めるのは収まりが悪いですし、大きいものだと保管が大変そう。さらに刀や魔法書なんかだと、収集よりも「使用すること」が前提となってくるため、漫画の方向性がやや異なったものになってしまいます。
読者からみれば、やたら数があるもの・全体の個数が明かされていないものは発見や獲得への興味が薄れてしまいますし、自分も欲しいと思えるようなフォーマットであってほしいものですよね。
そうやって考えれば考えるほど、「ドラゴンボール」の設定は、非常に秀逸だったと思えてきます。歴史的な物語は「唯一」のものを求めて旅立つフォーマットが主流だったのに対し、「収集」の概念を普及させたのは、もしかしたら「ドラゴンボール」だったのかも・・・?
今回はありそうで意外にないかもしれない収集のフォーマットについて考えていきます。皆さんも、もし何か「これだ!」という作品事例があ...
Published 11/01/24
どんなものを描けばいいかわからない、自分が何を描きたいのかわからないと悩んでいる時、他者から言われて一番困るのが「自分の好きを描けばいい!」という王道ど真ん中のアドバイス。
それが正しいだと自分でもわかってはいるが、どうやったらそれが見つかるのかがわからないから悩んでる……。そんな経験をお持ちの方も案外多いのではないでしょうか。
ある種の精神的スランプのようなもので、人によって脱出方法は異なってくるのですが、今回は以下5つの方法をご紹介してみます。
1)〆切を設ける(それを必ず守る)
2)お題を設定する
3)自分が好きな漫画をいくつか挙げ、好きの共通項を見つける
4)漫画を一旦休み、チートデイを迎える
5)自分にしか読ませない、自分語りの自分主人公漫画を描く
描きたいものが湧いてこない……!となった際は、ぜひこちらを試してみてください。きっと「自分が描きたい漫画」を見つけるヒントになるはずです。
Published 10/30/24
キャラクターを描くのは好きだけど、話の一番盛り上がる部分であるクライマックスを構成するのが苦手……。そんな方にぜひオススメしたいのが、自分が描こうとしている物語を、以下の構文に沿って四枚の紙芝居をつくってみる方法です。
1)こういう主人公が
2)こういう状況になっちゃって
3)こういうことを乗り越えて
4)こういうものを手に入れる
この四枚でしっかり盛り上がる内容になっていれば、クライマックス問題は解決です。特に3)はクライマックスを引き立たせるための重要な要素であり、作品としての説得力を持たせるパートとなるのでぜひ確認を!
なお、こちらは現段階ではまだまだ「仕組み」の解説にとどまっており、「コツ」を紹介するところまでには落とし込みができていない、というのが正直なところです。
皆さんも、ぜひこのラジオの解説など参考にしながらお試しいただき、これは!というロジックが組み立てられたら、ぜひ教えてください!
Published 10/28/24
感情を描くことが大事なのは理解しているが、告白シーンなどは2人しか登場人物がおらず、アップか引きかぐらいしか変化がない…。インサートを入れるにも限界がある…。
そんな「漫画としての画が持たない」問題にあたった時こそ、過去の名作から「構図」を学びましょう!...
Published 10/25/24
職人の世界などでは定番の「背中を見て学ぶ」という学びのスタイル。昔はその世界に飛び込まなければ何もわかりませんでしたが、今はYouTubeなどでいくらでも学習動画などのお手本が得られる時代になり、ある種の無駄や非効率性が指摘されるようにもなりました。
もちろん業態その他の背景から事情や必然性は大きく異なるわけですが、学習教材動画が豊富にある漫画家の世界においては、さらなる学習のアップデートが望まれます。
大量のデータが溢れているからこそ、必要なものを効率良く取り入れることが重視される時代においては、「1から10までのHow...
Published 10/23/24
漫画は基本的に“好きのお裾分け”の気持ちで描くことを推奨しています。ただ、そう聞くと「好きの感情以外で描かないほうがいいのか?」「怒りや恨みなどのネガティブなもの、バッドエンド的な展開などはダメなのか?」と疑問に思われる方も多くいらっしゃいます。
もちろん仕掛け次第で物語はどんな方向にも転がるものであり、キャラもそれに応じて変化するもの。その大前提で意識したいのが、「好きの範囲は意外に広い」ということ。
例えばスリリングな刺激を与えたいという欲求、ものすごく鬱展開な作品から新しい価値観や気づきを提供したいという気持ちも、立派な“好き”の1つ。名作と呼ばれる作品には、何かしらクリエイター側の「執着」が感じられるはずです。
その他にも作品としてはどんな表現だって有り得るわけです。重要なのは、それを読者が楽しいと受け止められるかどうか。人間は、意外“すぎる”ことを受け入れることができません。
だからこそ、意外が気持ち良さに変わるような予兆、丁寧な仕掛けや伏線などが求められます。読者を裏切る、あるいは強いメッセージを伝えるような展開に持っていく場合は、とにかく「わからない・・・」...
Published 10/21/24
漫画の神様・手塚治虫先生。その作品は、後進のあらゆる漫画家にとってのバイブルとなっています。しかし、代表作の1つとして挙げられる『火の鳥』だけは、いわゆる「物語の型」から外れた異質な作品ではないかとマンガスクリプトDr.ごとうは考えます。
世界観をテキストで何ページもかけて説明するあの導入パート、キャラの魅力ではなく「世界」そのものを読ませる構成、誰にも再現不能なストーリー展開・・・。
ディティールを書き込んでいるというわけでもない独特のタッチで描かれながら、なぜこうも読者の興味を惹きつけるのか。
そして先生自身、一体どんなモチベーションによって、あの世界を描き続けることができるのか。まるで何かに取り憑かれて描かれたとしか思えないような、不思議なパワーを感じずにはいられません。
商業エンタテイメントとしての漫画を確立させた存在でありながら、その法則や仕組みなどを軽々と超えてしまった作品も生み出していた手塚先生。
ひょっとすると、手塚作品=教科書という無意識の思い込みがあるがゆえ、早い段階で『火の鳥』に衝撃を受けた人ほど、漫画家への道を狂わされて...
Published 10/18/24
読者が課金して続きを読みたくなるような漫画を制作するうえでは、ある種の優位性を刺激するような企画が求められます。しかもビジネスモデル的に序盤からそういう仕掛けが求められるため、じっくりと感情を描いたり伏線を回収したりするような漫画を得意とする人ほど、不向きということに。
では、そういう人がWebtoonで課金ポイントを早めに設定できそうな企画とは、一体どんなものか。その1つは、解放欲求を刺激する企画ではないでしょうか。
読者が「これはキツい…!...
Published 10/16/24
見た目の可愛らしさは、キャラクターの好感度を左右する重大な要素の1つ。一方で、エグさを感じるようなデザインでも人気の高いキャラは数多く存在します。
では、可愛らしさの無い、パッと見の好感度がマイナスからのスタートとなるようなキャラは、何が要因で好感度が高まるのか。それはずばり「笑わせてくれる」「ハッピーな気持ちにさせてくれる」ことではないでしょうか。
ギャグ漫画の強烈なキャラがわかりやすい例ですが、ストーリー漫画でもお笑い役的なキャラは、デザイン面のみでいえば「可愛い」とは程遠いものであっても、好感度は高まり、結果として「キモ可愛い」「ダサ可愛い」といった評価を後から得るようになります。
そんなわけで、キャラの好感度と見た目の相関について考えてみた今回。作風的に「可愛らしくみせよう」といった発想が薄い漫画家にとっても、ヒントになるかもしれませんよ!
Published 10/14/24
「自分が描いた作品を、誰に届けたいですか?」という問いに対する答えによって、漫画家は2つのタイプに分けられるのかもしれません。その答えとは、届けたい相手は「自分」なのか「自分以外の誰か」なのか。
このラジオでは、「漫画家のタイプは、自分の大好きなものを描く『萌え型』と、自分の中にある伝えたい気持ちを描く『排出型』に分けられる」という話を何度も紹介してきました。あわせて、前者が「みんなに自分の好きを見てほしい!」、後者が「自分の気持ちを知ってほしい!」という創作モチベーションこそが、その違いだと考えてきました。
しかしそれ以上に、もっと根源的な違いとなる部分が、前者が「自分」、後者が「自分以外の誰か」という「作品を届けたい相手」にあるのではないでしょうか。
あなたが作品を描くことによって、変えたいのは自分の気持ちなのか世界なのか。今回は、そんな大きなテーマについて考えていきたいと思います!
Published 10/11/24
作品の面白さが決まるという内容的な面はもちろん、フォーマット的な面で「世界観」が果たす役割は非常に大きなものがあります。なぜなら、能力やキャラクターは、それがどういう世界で存在しているかによって魅力が左右されるからです。
絵柄やキャラ造型の巧みさは同じはずなのに、大ヒット作を描いた漫画家の「次」の作品が苦戦しがちなのは、この「世界観」ごと違う作品を描いているからではないでしょうか。逆に、ヒット作を連発する先生の作品は、基本的に同じ世界観の中で展開されている物語なのではないでしょうか。
世界観とは描き手のみている世界であり、人格であり、宇宙。それを個人の中で複数創り上げるというのは、一部の例外を除いてそもそも無理な試みのように思えます。新人かベテランか、読み切りか連載かなどの差ではないはずです。
だからこそ、「自分がつくることができる世界観は1つだけだ!」と割り切り、作品ごとに違う世界観をつくるのではなく、1つの世界観を磨き込む・作り込んでいくよう取り組んでみるのはどうでしょうか!
Published 10/09/24
アニメと漫画で表現が大きく異なってくる1つが、アクションシーンの描写ではないでしょうか。一連の動きの中で、何を描いて・何を描かないかという取捨選択の基準が、アニメなら最初のカットと最後のカットを重視するのに対し、漫画は途中の印象的なカットを重視しています。
アクションの流れにおける決めポーズ的な1コマ、映える1コマを描くために、前後のコマも描いて・・・というようなつなぎ方をしているとも言えるでしょう。
ただ、漫画を描くうえで難しいのが、そのための最適なボリュームの判断。アニメは動きの美しさ・滑らかさを表現するためのセル画を増やして圧縮するほど「神シーン」に近づきますが、漫画で動きを描きすぎると間伸びしてしまいますし、省略しすぎると紙芝居みたいになってしまいます。
上手く表現するためには、動きそのものより、ある種の期待感を持たせるような内容面の工夫が必要なのかも・・・? そんなわけで、表現自体は非常に多い一方、意外になかなか最適解が説明できない「アクション」シーンについて考えていきます。
Published 10/07/24
プロは絶対描いているのに、新人漫画家は意外に描けていないもの。その1つとして挙げられるのが「主人公の半径5メートルの描写」です。これが1ページに1コマぐらい入っているだけで、漫画は格段に読みやすくなります。
位置関係を読者に示すため、人物を同じコマ内に入れるなどの描き方は皆できている一方で、周囲にどういうものがあるか、つまり「今どういう場所にいるか」を描けている新人は、意外なほど少ない傾向にあります。
テーブルと人物の位置のような狭い範囲の切り取りではなく、テーブルがあって本棚があって壁があって…といった広い範囲、つまり主人公の半径5メートルぐらいの範囲での描写は、むしろ避けられている印象さえも。
おそらく「実際に目で見える範囲」の意識があるからこそ、壁などを描くのが避けているのかと思われますが、そこはドラマなどのセットを意識してみてください。周囲が広く描かれることで、実際の景色というより、そこに漂っている雰囲気のようなものがきっと伝わりやすくなるはず。商業連載の漫画をチェックしてもらうと、案外どの作品でも描かれていることがわかると思います。
というわけで皆さんは、騙され...
Published 10/04/24
漫画の原稿を持ち込み、編集者から一通り説明や指摘などをもらったあとでの「最後に何か質問ありますか?」という問いかけ。特に無くとも「ありません」というのも、何かヤル気がないみたいで気が引けてしまう……。
そんな風に考えてしまう人が一定数いるのは、よくわかります。ただ、企業の採用面談等ならともかく、原稿持ち込みで特に質問なければ、そこで終わるのが本来は一番良いはず。編集者さんの時間も無駄にせずに済みます。
とはいえ、「質問力」を持っているとフィードバックに対する理解も深まりますし、やっぱりコミュニケーションをちゃんと取れる人のほうが、連載にまで至りやすいという印象はあります。
これはいわゆる「コミュ力」の話ではなく、相手の言いたいことを確認できる力やきちんと受け取れることができる力といった能力の話になります。
そういう意味では、たとえば編集者が指摘してくれたことを復唱し、最後に認識合わせとしての確認(質問)をする・わからなかったところをもう一度聞き直す、といったコミュニケーションがとれるようになるのは、漫画家にとっても良いことのように思えます。
なお、普通におすすめしたいの...
Published 10/02/24
コミカライズが大ブームの時代ですが、漫画にしやすい小説やラノベ、あるいは作画担当からみて描きやすい原作の傾向はあるのでしょうか?
この問いは、担当の人のスキルや嗜好、出版社側の意向などもあるので一概には言えないのですが、あえて回答するとしたら……「しにくい作品はあります!」という感じでしょうか。
まず、冒頭が世界の説明ばかりの作品。テキストだと面白いのですが、漫画でその説明をしようとするのは大変です。同様に、小説では出来事が連続すれば面白く読み進められますが、漫画で出来事の連続だけの描写は厳しいものがあります。
そして、主人公の一人語り・独白形式の作品も、漫画になると話が進みにくい。だからこそ、二番目のキャラも早めに出してあげましょう。対話する相手がいることで、主人公の性格や感情なんかも伝わりやすくなるはずです。
他にも会話と地の文のバランスなど色々挙げることはできますが、あまりコミカライズそのものを意識して書いてしまうと、原作ではなく「脚本」になってしまい、作品自体の面白さが損なわれる・制限されるので悩ましいところ。
なお普通に描きにくい「ジャンル」の筆頭として挙げら...
Published 09/30/24
魅力的なキャラをつくるためには、「意外性=ギャップ」を持たせることが大事。その具体的な方法として、「○○だけど△△という相反する要素を設定しよう」とアドバイスされることは、とても多いと思います。ただ、単にギャップを持たせただけのキャラ設定は強度としても弱いですし、魅力も生まれません。
相反する要素は、そこに葛藤が生まれるからこそ良さがあります。「こういうことをやりたいけど、それを邪魔する要因がある」というギャップを持った主人公がいれば、きっとストーリー自体を楽しくしてくれるはず。
あとは、ページ数や話数に応じて、その主人公の願いの「サイズ感」を上手に調整していきましょう。
とはいえ、結局一番大切なのは、描き手自身の「好き」から生まれたものか・描いていてテンションが上がるかどうか。編集者の気持ちではなく、あくまで自身の気持ちに寄り添ったものであることを強く意識しましょう。
何より、ギャップはあくまでアクセントであり、調味料。あまりギャップを考えすぎて迷子にならないことも大事です。
Published 09/27/24